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美術史の「革命」~ウスター美術館展に行って考えた

印象派は、19世紀後半に登場したばかりの頃は、明るく輝くような色彩や、筆致を並べることで光や水のゆらめきを表現する筆触分割の技法が、伝統的ルールを大きく逸脱したものであるとめに、反発も大きかった。
しかし、アメリカやヨーロッパ各国からやってきた画家たちによって吸収され、さらに彼らが故国にそれらを持ち帰り、広めていく、という展開を誰が予想できただろう。
〈叫び〉で有名なムンクも、フランスに留学し、印象派の技法やテーマを取り入れた作品を描いている。(下)

(参考図版)ムンク〈ラファイエット街〉、1891年
※展覧会には出品されておらず。

このような、それまでの「常識」が打破され、しかもそれが世界的に広まる「革命」現象は、「印象派」とあとは17世紀の「カラヴァッジェスキ」くらいだろう。
後者は何度か見かけたが、前者にがっつり取り組んだ展覧会は、少なくとも私は経験がない。
ローマに来た画家たちが、カラヴァッジョ風の激しい明暗を駆使したドラマチックな画面作りを故国に広めたように、19世紀後半~20世紀のパリを訪れた各国の画家たちは、印象派の技とDNAを学んだ。
彼らはただ真似するのではなく、時に独自の解釈も盛り込み、腕を磨いた。
その中でも大規模な例がアメリカ印象派と呼ばれる画家たちだった。
この機会に彼らの名前と作品が、より注目されますように。

チャイルド・ハッサム〈朝食室、冬の朝、ニューヨーク〉
チャイルド・ハッサム〈花摘み、フランス式庭園にて〉

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