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過去の自分を超える

4年前、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に寄せて書いた、この記事が、私にとってはライターとしての出世作になった。

この記事が、その後の『名画BEST100』を含む紙媒体の案件を連れてきてくれた。
私も、この記事の執筆を通して、ゴッホ、それも理想に燃えていた時分のエネルギーに充ち溢れる彼と、真っ向から組み合い、戦った。
ゴッホに関する展覧会があると、ほぼ毎回書いているが、どうしても〈ひまわり〉の記事が気になってしまう。
私はあれを超えられるのか、と。
トーンダウンしていないか。
超えられなくても、せめて近いところまで行けないか。
いつも考えずにいられない。

縛られている、と言おうか。
ゴッホは、1889年にサン=レミの精神病院に入院後、過去作の模写、という形でヒマワリを描いている。模写と言っても、色調や細部を微妙に変えたり、新しい工夫を施し、新たな表現の可能性に挑戦している。
結局3枚で、模写はやめてしまうが、描いている時の彼の内面が今では少しわかるような気もする。
今、私は仕事として、再びゴッホのロンドン版〈ヒマワリ〉について原稿を書いている。
前回、書いた時と、どうやって差別化するか。それには頭を悩ませた。が、最終的には、彼へのオマージュ作品を一つ組み込むことに、その答えを見いだせたと思う。
その画家は、ナショナル・ギャラリーの記事を書いた時には、名前は知っていても、興味はなかったし、彼がヒマワリを描いていた、ということすら知らなかった。
彼の作品を組み込むことで、私は自分の成長と視野の広がりを示したい。
この「彼」については、8月1日にアップされるだろう記事でご確認あれ。

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