映画『イミテーション・ゲーム』覚書
チューリング・マシン(コンピューター)を開発した天才数学者アラン・チューリングの実話に基づく物語。
第二次世界大戦中、ドイツ軍による難解な暗号「エニグマ」を解読するマシンを作り上げたことで、「戦争を二年早く終わらせ」「1400万人もの命を救った」と後に評価されるが、その功績は機密扱いにされていた。
天才的な頭脳を持ちながら、周囲ともなかなか馴染めず孤立しやすいチューリング。そんな彼が仲間との関係を改善し、一丸となって目的ーーーエニグマを解読し、連合国を勝利に導くーーーこれだけなら、事実、フィクション問わずよくある話だし、映画やドラマでもお馴染みの筋書き。
実は彼は、ある「秘密」を抱えており、
この「秘密」こそが、彼の全てーーーエニグマ解読チーム参加やマシン開発の根っこ、そして戦後もマシンを育て続けた原動力だった。
しかし、小さな出来事がきっかけになって、それは、明るみに出てしまい、彼はある選択をする。
「秘密」は、今という時代から見ると、「敵国に情報を流すスパイ」に比べたら、はるかに無害だ。
彼からカミングアウトされた婚約者も、「だから何?」と切り返すが、それは当時としてはレアケース。
ナチスは迫害や撲滅の対象にしたし、イギリスでも有罪になった。チューリングも有罪判決から一年後に自殺したことが映画の最後に語られる。
2013年に、女王によって死後恩赦が出たことも。
そんな彼が今のイギリス、世界を見たらどう思うだろう。
この映画が作られたことも含めて。
追記
最後に、この映画でアカデミー脚色賞を受賞した脚本家グレアム・ムーアの受賞スピーチでの言葉―――彼がこの映画で一番伝えたかったことを。
「Stay weird. Stay different.」(変なヤツでも変わり者でもいいんだ)
https://wired.jp/special/2015/imitationgame/01/