徒然日記~ティツィアーノとミケランジェロ
「ミケランジェロのデッサンと、ティツィアーノの色彩」
16世紀のイタリア美術は、この一行に集約される。
「神のごとき」天才ミケランジェロと、「色彩の魔術師」ティツィアーノ。
二人が並び立つ様は、二人の源流にあるルネサンスの二つの流れ、つまり「デッサン(線)」や理論を重んじるフィレンツェと、「色彩」や感覚を重んじるヴェネツィアとをそれぞれ象徴していると言えよう。
それにしては、ミケランジェロに比べてティツィアーノはどことなく影が薄い。(日本では知名度がそんなに高くない)それが、個人的な不満でもある。
だからこそ、この二人が絵を通してぶつかり合ったと知った時には、「お」と思った。
しかも、あのミケランジェロの方から喧嘩をふっかけた形だ。
ミケランジェロは、パトロン(教皇)だろうと同業者(ライバル)だろうと、あちこちと角を突き合せているイメージの強い人である。レオナルドなら、すました顔で無視するか、流すかするだろう。ラファエロは要領よく振舞ってできるだけうまく調整するし、そもそも「バトル」に発展することが少なそうだ。
まあ、だからこそ面白いし、興味をそそられるのだけど。
一度、彼のバトル戦歴をたどってみたい。