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短編小説読書メモ26ー27本目~白川紺子『下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ』から

今回は、白川紺子『下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ』から、表題作とその手前の『亡き乙女のためのパヴァーヌ』を。
着物をはじめ、美しいアイテムの描写がこの作品の魅力で、表題作の冒頭で語られる現象ーーー回転木馬型のオルゴールから、馬が逃げ出していき、鳴らなくなってしまったーーーも、すぐに映像として思い描けた。
馬たちはどこに行ったのか。
そして、持ち主の老女のある秘密とは?
柔らかく切ない味わいのミステリーだった。

一方、『亡き乙女のためのパヴァーヌ』は、戦時中の伯爵家の長男と女中の悲恋にまつわる物語。西陣の空襲のことは知らなかったが、その凄惨さ、そして愛する人を失った長男の悲しみが文から立ち上ってきた。
ドイツ語の歌曲は、『野ばら』(シューベルトとシューマンの二つのバージョン)を、音楽の授業で昔歌ったことを思い出す。
今回出てくる曲は、シューマンがハイネの詩に曲をつけた『君は花のごとく』。なかなかロマンチックな詩のようだ。
ハイネ、といえばオーストリア皇后エリザベートが傾倒していた詩人で、昔作品を読んでみたこともあったと思うが、記憶にない。
今度、歌曲とあわせて、調べてみるか。

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