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徒然日記~大島真寿美さん、『渦』読書中
先日、迷いに迷った末、久しぶりに小説の単行本を買った。
大島さんの直木賞受賞作『渦』を。
もともと私は、作家モノ、というのか、「ものづくり」の話が好きだ。
特にものづくりに携わる人の迷い、悩み、そして道を見出していくその過程を描いた作品が。
それで言うなら、昨日見た映画『トールキン』も、今日仕事に行く電車の中で開いた『渦』も、関わるジャンルも舞台も違うが、そのタイプに入るだろう。
人形浄瑠璃というものとは、今まで縁がないまま生きてきた。
敢えて言うなら、三浦しをんさんの『仏果を得ず』を一回読んだくらいか。
こちらは、現代を舞台にした、人形に合わせて語る太夫の話。
対する『渦』は、江戸時代の道頓堀を舞台にした、脚本書きの話。
「物語」とは一体どこから来るのだろう。
どうやったら書けるのだろう。
今ちょうど三章目の「あおによし」を読み終わったところだ。
何度も何度も人形遣いにダメ出しを食らい、弟分にも先を越され、もがく主人公が、奈良へと幼馴染を訪ねる。
幼馴染たちの前で、芝居について語り、そして、相手からは奈良の言い伝えなどを色々と聞く。
それは、やがてデビュー作へ、そしてさらに後には歴史に残る名作へと結実することが示唆される。
はてさて、これからどうなることやら。
続きが楽しみで仕方ない。
そして、こんな気持ちになれたのも久しぶりかもしれない。