記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

短編小説読書メモ20本目~白川紺子さん『杜若少年の逃亡』

※ネタバレあり!

何となく読みたくなって開いた、白川紺子さんの『下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ』に納められた『杜若少年の逃亡』。
あらすじは、蔵にしまってあった男の子用の杜若の着物が、少年の姿に変わり、逃げ出してしまうというもの。
しかも逃げるのは、捕まらないためではなく、追いかけて見つけて欲しいからだという。その根っこには、少年の抱えるある秘密があった。
秘密につながる手がかりとして、主人公の祖母が残した謎解きが粋だ。
能の演目の『杜若』。『井筒』。『松風』。
そしてシェイクスピアの作品からも二つ。
これらに共通するものは?

日本の伝統芸能である能と、イギリスの劇作家シェイクスピア。
東西の「舞台劇」をこんな形で取り合わせるとは、と初めて読んだ時には舌をまいた。
そして、出てくる杜若や松などのキーワードにちなんだアイテムの描写や、謎が解けるラストシーンの鮮やかさは、映像として目に浮かぶ。
というか見たい。

いいなと思ったら応援しよう!