#1 別れた人、ともに生きてゆく人
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“きらきらには光れない”の
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詩「オレンジ」
光をみつけた、希望をみつけた
手のひらにあったものを握りしめて
走る、再会した人ともう別れた人と
その両方がまるで太陽の光であったように
忘れた、毎日が楽しかった日々を忘れた
それでも楽しく生きていて
もう会わなくていいような気がしていた
列車の扉が閉まるまで見つめていた
あの瞬間を思い出すことができない
それでも
光が、手のひらに、あることがすべてで
それだけが今のわたしのすべてだった。
エッセイ「再会」
私はあるときをきっかけに鬱状態になった。
抗うつ剤のせいか、気分安定剤のせいか、なんだか忘れっぽくなったような気がしている。治療していた2年ほどの記憶はもちろん、新しいエピソードや細かい状況などが覚えていられなくなった。「こんなことあったよね?」「あのときああだったよね?」と誰かに聞かれても、「そうだっけ、覚えてないや、はは」と笑って誤魔化すことしかできなかった。
そんな中、つたないわたしに自分の悩みを相談をしてくれる人と出会った。本質的な深い話ができて、わたしを尊敬してくれて、わたしもその人と話している時間が好きだった。本当にいろんな話をして、人に話せないことも話したような気がする。たしかにその儚い時間が好きだった。
ただ、わたしはその内容をほとんど覚えていない。どんな場所でどんな顔して話したか、細い記憶を辿っても分からない。ただその時間だけが希望で毎日の楽しみだったことだけはたしかに覚えていた。環境が変わってその楽しみは今はもうないけれど、毎日が光で溢れていたことには変わりなかった。
そんな友達と、再会をした。
久々に見た顔はなにも変わっていなくて、たわいもない話をして、目を見て笑った。もう思い出すことのない思い出と、今たしかにあるこの時間の両方が光であるかのように、何気ない瞬間が嬉しかった。
2023年12月16日に結婚式を挙げた。
一瞬一瞬が楽しくて、わたしと旦那の大切な人しかいない高砂からの景色は、この先も一生忘れたくないものだった。一生離れたくない人ができた。一生をともに生きていくと決めた人ができた。いることがいつしか当たり前になって、当たり前を忘れてしまったときも、一度別れてしまっても、今こうして一緒にいることだけが真実だった。大切な人と誓いを立てて、これからをともに生きてゆく決意ができたことは、わたしの人生にとって大きなことだった。
そんな景色もいつか忘れてしまうのだろうか。たしかに幸せだったあの空間も、いつかは忘れた思い出になるのか。それがなんだか悲しかったけれど、忘れない努力はいくらでもできる。あの日みた笑顔も、緊張してお腹が痛くなった姿も、愛おしい思い出も、忘れないように忘れないように、大切に握りしめて生きてゆく。いつだってわたしは思い出とともに生きていきたいと思う。
もう会わない人、これからともに生きてゆく人、そのどちらもわたしのなかに刻まれていて、どちらも生きてきた証であって、光であった。一緒に時間を過ごしてくれてありがとう。オレンジの光のように、希望に満ち溢れた一瞬一瞬を、いつか忘れたとしても、忘れたことはいつまでも覚えているように生きていけたら、なんて思う。
2024.1.15
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これから、有料メンバーシップ1本でnoteを運用していこうと思います。わたしの書く言葉、文章にどれだけの価値がつくのかは未知ではありますが、言葉を書いて生きている者として、5年間積み重ねてきたものの集大成として、自分の言葉の価値を生み出してみようと決意しました。ひとつひとつのnoteを作品作りとして向き合うように執筆していこうと思っています。
価格は、月額制で500円。月3本以上の詩+エッセイ+写真の作品のような記事に加え、何気ない日常をさらけだしたエッセイを月に10〜15本出します。そのほかおたよりコーナーやラジオ、メンバー同士の交流など初めて挑戦するコンテンツも盛りだくさんにする予定です。記事の単価にするとかなり安いですが、作品を読んでもらえる機会を増やしたく、このように設定しました。
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アズ
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