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夜道でおじさん自転車に追突され、女の無理ゲーを考える
先日、夜道で自転車に追突された。広い道路の側道を直進してたら、真後ろからの突撃。曲がり角でもないのに突撃。
でも、その時の私はそのまま立ち去ってしまった。
なぜだろう。振り返ってみたい。
パニック。ワニワニパニックを超えるパニック
夜23時、12月寒空の下、お酒を飲んだ帰り道。私の背後から、突然の衝撃が走った。
AirPodsをしており、音も遮断されていた私はパニック。
何が起きたのかわからないまま立ち上がると、フリース姿の50代くらいのおじさんが「すみません、すみません」と近づいてきた。
咄嗟に思ったことは、「襲われる!」
夜道で近寄ってくるおじさん=怖い
こんな広い道でまっすぐ突進してくるなんてありえない=わざと?
ぶつかりおじさん??
とにかく立ち上がって、AirPodsを取り、3歩後ずさりした。
足と手が痛い。
一拍おいて再度と、おじさんもコケて自転車も転がっていたので、
わざとではないかも?
お詫びしてるからヤバい人ではないかも?
てかどういうこと??????
思考を限界まで巡らせた結果
道の先にセブンイレブンが見えた。
そしてあそこまで行けば、多少人通りがある。
そして、様々な考えが頭をよぎった。
連絡先を聞くべき?
警察を呼ぶべき?
時間かかりそう
でも自転車だよな
夜道でおじさんといたくない
結局、私は黙って歩き出した。とにかく、この場から去りたい。家に帰りたい。
相手も立ち上がり自転車に乗り、謝罪の言葉を残しながら去っていった。
なぜ、咄嗟に声が出ないのか
これは初めての経験ではない。以前、ひったくりに遭いそうになった時も、声が出なかった。自転車に乗った男に、後ろからカバンを捕まれ、そのまま持っていかれそうになったのだ。これも夜道で、音楽を聞いていた。
危機的状況で、人は意外と冷静に判断できない。むしろ、頭が真っ白になって、何も考えられなくなる。そして叫ぼうとしても声が出ないのだ。もし防犯ブザーを持っていても鳴らすことなんてできないだろう。痴漢されても黙ってしまったり泣き寝入りしてしまう人がいるというのも、感覚的にわかる気がする。
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ちなみにこのときは、たまたま私が腕を組んでいたため、カバンがすんなり外れず事なきを得た。道沿いに、御夫婦らしき男女が見えたことも、犯人が諦めるきっかけとなったようだ。私はなぜかそのお二人に「あわあわあわ…東京って…怖いですね…」的なことを言って帰宅した。いまだになぜその発言だったのかは謎だが、あの恐怖の感情は昨日のことのように鮮明だ。
***
後から自転車追撃事件について友人に話すと、「連絡先を聞くべきだった」「免許証の写真を撮るべきだった」と言われた。確かにその通りだ。その通り過ぎる。ぐうの音もでないが、ぐうの音は聞いたことがない。でも、その瞬間の私には、そんな判断力は残されていなかった。
夜道×女性難易度SSS
この経験から、無理やり学びを得ようとするとどうだろうか。
とっさの時の対応は、事前に「型」として準備(でも多分発動無理)
夜道での判断は、絡まった糸をほどくような難問(一瞬で解けない)
正しい判断と、実際にできる判断は一致しない(今も解なし)
全然答えが出ない。学びがない。
腕の痛みは数日で消えそうだ。でもあの夜の記憶は、まだ私の中で整理がついていない。悶々としている。
「お金をもらえたかも」とかも思ったり、「いくらもらっても腕が折れてたらその方が嫌だわ…」とか、「だからってこれを不幸中の幸いと呼べないわ」とかいろんな感情がよぎる。
ジェンダーの物差しを常に持ち歩かないと生きづらい時代とはいえ、
女×夜道はまじでむずい。女の無理ゲー。そう言い切ろうじゃないか。
「正しい対応」と「安全な選択」の間で揺れ動く女たち。
さらにいうと、私の危機は毎度自転車、そしてイヤホンが絡んでるな。夜道の脅威。自転車の脅威、イヤホンの脅威。脅威多すぎ。社会修羅すぎ。
次に同じような状況になった時、私は違う判断ができるだろうか。正直わからない。でも、この経験を書き残すことで、次のチャリからも身を護りきりたい。
そして誰かの危機の参考になれば。
くそ!まだ腕はいたいぞ。