【切り絵の森美術館】企画展「望月めぐみ切り絵展 祈り咲く空」を見に行く
はじめに
切り絵の森美術館は、身延町に所在する広大な公園、山梨県富士川クラフトパークの中に点在する切り絵作品の展示する美術館です。
点在というのは、企画展ギャラリー1棟、常設展ギャラリー2棟の3ギャラリーに分かれ展示しているからです。
特に企画展では、1人の切り絵作家の作品を紹介しており、富士川クラフトパークの代表的な施設となっています。
山梨県富士川クラフトパーク
山梨県富士川クラフトパークは、国道52号線から県道37号線に入った小高い山の上にあります。53ヘクタール(東京ドーム約11個分)の広さがある大型公園です。
もともと山梨県南部(峡南地域)は西嶋和紙、六郷印章、雨畑硯など工芸に関する地場産業が盛んでした。クラフトパークはその名のとおり工芸を体験する公園型施設として1989年(平成元年)に開設されました。もともとは、県の財団法人の運営でしたが、現在は指定管理者が運営しています。
大型連休中に行楽を兼ねて訪ねたところ、駐車場待ちの渋滞が山のふもとから続く大混雑ぶりでした。
園内には、バーベキュー場、ドッグラン、テニスコート、カヌー場などがあります。
利用が多いのは、レストラン、芝生広場、切り絵の森美術館などです。特に大型連休を含み5月からはバラ園が人気です。
また、園内には道の駅「みのぶ富士川観光センター」を併設していましたが、2023年(令和5年)3月で閉鎖され、跡地は工芸を楽しむ施設「アートスクエア」として再オープンになりました。
切り絵の森美術館のチラシより建物のある中心施設の集まる部分を抜粋しました。
レストラン・スヴニール
駐車場のほうから進んでくると広場があります。その向こうにレストラン・スヴニールの建物があります。フレンチと軽食の楽しめるレストランです。ガラス張りの店内からはこれから見頃を迎えるバラ園が見えます。建物の中に道の駅「みのぶ」が入っています。
ただしこの道の駅は観光案内の機能に特化しており、農産物の販売などは行っておりません。
また広場で、週末はキッチンカーやテントなど並びます。多くの人で賑わっています。
バラ園(香りのガーデン)
レストランの建物を周辺から囲むようにバラ園があります。2015年(平成27年)とまだ年数は浅いですが、すでに山梨県内の有名バラスポットに名を連ねるようになりました。
バラ園の広さは1,500平方メートル。約130種2,900株のバラが植えられています。
公園の場所の標高が高いからでしょうか、筆者が訪れたときは、まだ少し花が少なかったように思います。また、観光業者の経営するバラ園に比べるとバラの木が自由に伸びてしまっている感じは否めません。
階段にアーチを配して、アートスクエアの蔵風の建物までバラ園が続きます。
アートスクエア(旧みのぶ富士川観光センター)
蔵をデザインした建物がアーチ状に並んでいます。
2023年5月よりアートスクエアとしてリニューアルオーブンしましたが、まだ「準備中」の施設が多いです。
2023年3月まで道の駅「みのぶ」、みのぶ富士川観光センターが入り、西嶋和紙、竹炭工芸、六郷印章、雨畑硯などの実演、体験、販売をしていました。
➀「香りのガーデン・マルシェ」 準備中
バラなどの香りのアイテム販売とのこと。
②「西島和紙工房」
手漉き和紙体験ワークショップ
クラフト&アート作家のセレクトショップ「tesukiya」
③「knoten letterpress」(活版印刷工房)準備中
活版印刷のアトリエ、ショップです。
④「切り絵の森美術館 常設館」(道の駅ギャラリー)
常設展ギャラリーのうちの1つです。
⑤の区画も展示スペースとして拡張する計画とのこと。
⑥「おみやげ館」
山梨県や峡南地域の特産物・お土産品を販売していますが、少し商品が少ない感じでした。
結局、準備中ばかりで、体験施設でオープンしていたのは、「西島和紙工房」の手漉き和紙体験だけです。
手漉き和紙体験は、およそ15分ほどではがきを5枚作るというもの(600円)です。
半分はショップになっており、素朴な器やコットン生地も扱っています。
芝生広場
芝生広場では、家族連れがゆっくりくつろいでいました。最近はレジャーシートではなく、小型のテントを用意されるようです。こどもたち大人気はふわふわドームもあります。
切り絵の森美術館
切り絵の森美術館は、2010年(平成22年)に開館した切り絵専門の美術館です。富士川クラフトパークの中に点在する3つのギャラリーで構成されています。
①道の駅ギャラリー(常設展)
②時計台ギャラリー(常設展)
③芝生ギャラリー(企画展)
2つの常設展と1つの企画展ギャラリーで構成されています。
再び、切り絵の森美術館のチラシより抜粋しました。
芝生ギャラリー(企画展)は、望月めぐみ切り絵展「祈り咲く空」(2023.4.1~6.25)を開催しています。
常設展は「時計台ギャラリー」「道の駅ギャラリー」の2箇所に分かれています。
料金は、企画展の料金(700円)と常設展2ギャラリーの料金(500円)は別のためすべて見ると1,200円とちょっとお高くなります。
望月めぐみ切り絵展 祈り咲く空
前面ガラス張りの建物が芝生ギャラリーです。
「望月めぐみ切り絵展 祈り咲く空」(2023.4.1~6.25)は、第31回企画展とのこと。
館内のエントランスに受付カウンターがあります。ご覧いただくと切り絵が前面ガラスにかかりカーテンのように包み優しい光が差し込みます。
プロの作家の展示でありながら撮影可です。SNSへの投稿もOKです。
ただし、常設展「時計台ギャラリー」「道の駅ギャラリー」は撮影不可とのことで、望月氏の「祈り咲く空」を紹介いたします。
望月氏は、京都市在住の作家さんで、京都奈良などの歴史的なテーマ作品を扱っておられるようです。また切り絵は曲線と繊細さが特徴とのこと。
展示室に入ると、幅30センチメートル長さ50メートルの1枚の切り絵《無限菊》が部屋のほとんどを占めています。見事な菊が連なっています。下書きはせずに彫り上げいくそうです。
1章 切り絵との出会い―初期作品ー
4つの章立てで構成されています。
大学演劇部で公演パンフレットの表紙が最初の作品とのこと、また活動初期は美人画をモチーフに作品を追求していたとのこと。
下記画像の右《処女作》とあるのが公演パンフレットの表紙になった作品でしょうか。
2章 京都移住―歴史文化の地でー
モチーフが美人画から古典や神話へと展開したそうです。京都大原に移住して伝統文化の環境の中で寺社や祭りなど取材した作品の発表が増えていったそうです。
3章 和紙―圧倒的な素材の魅力、減退の危機―
文化財修理の専門家との出会いが和紙の魅力との出会い作品に取り入れたとのこと。しかし和紙をとりまく切実な状況から和紙の可能性を発信しつづけているとのこと。
まるで植物の標本のようです。和紙でこれだけ緻密に作るのはたいへんな作業と思います。
古代中国の神話にて神木といわれる扶桑を描いた作品
飛鳥寺の脇の二体の仏を切り絵て再現した大作
4章 東アジアのコスモロジー
展示室を移動します。
京都奈良の地域文化の根底には中国や朝鮮半島などの文化や思想が根底あることに至ったとのこと。
この《交》は立体作品で、古代中国の陰陽思想などが再現されています。十二支や天体図などまるでキトラ古墳の世界です。
雪舟の絵画を表現した作品もありました。
常設展
「道の駅ギャラリー」「時計台ギャラリー」がありますが、こちらは撮影できません。
時計台ギャラリーは、屋根に時計台の付いた外観をした管理事務所の建物の中にあります。
道の駅ギャラリーは工房などのある蔵風の建物の真ん中にあります。
「常設展」は百鬼丸さんや関口コオさんなど収蔵している作品を展示しています。カナダ、オーストラリアなど外国作家の切り絵作品もあります。
おわりに
訪問時は大型連休中だったため、たいへんな混雑でした。ほとんどが家族連れで屋外を楽しむ人たちでした。
一方、美術館を訪れる人は少なめで幻想的な空間を楽しむことができました。
まだアートスクエアは準備中の区画が多くこれから整備が進められるみとになりそうてす。