【河口湖飛行館】31日間だけ開館する博物館
はじめに
河口湖に程近い、山梨県鳴沢村の別荘地の林の中に1年のうち8月のたった31日間だけ開館する博物館があります。「河口湖自動車博物館」(以下、自動車館)と同じ敷地内にある「河口湖飛行館」(飛行館)です。
度々メディアにも取り上げられる有名スポットです。また、自動車ファンや軍用機ファンはもちろんのこと観光客も多く訪れていています。
8月のみ開館
別荘地の中を走ること数キロメートル、看板とともに駐車場のある敷地への入り口が見えてきました。
駐車場たいへん広いのですが、自動車館の建物にF-104戦闘機が載せてあったり、見上げるような自衛隊の輸送機があったりと、スケール感に驚きます。
また、筆者は休日の午前中に到着したので車を停める余裕は十分にありましたが、午後にもなると満車になっていました。
これだけ盛況なのにどうして8月のみ開館なのでしょうか。飛行舘の見学中にベテラン技術士の方にお聞きしたところ、11カ月間は展示品のレストア(復元)をしているとのことです。11カ月の成果を毎年8月に公開しているのです。
展示品は、館長で会社経営者の原田信雄氏が私財を投じて収集したもので、自動車や軍用機を購入しスタッフが復元して展示されているのです。
2020年(令2年)はコロナ感染拡大で公開は中止されました。昨年と今年は無事公開されています。
河口湖飛行舘
格納庫のような大きい建物が飛行舘です。開館は2001年(平13年)ですのでおよそ20年の歴史があります。
入館料は自動車館とは別料金で1500円です。昨年から500円アップの1500円にしたとのことです。少し高いと感じましたが、見学した後は、原田氏が私財を投じていて、さらに現在も復元を続けている事、復元のクオリティの高さ、これらから考えれば料金は決して高くないと思いました。
また、スタッフは男性ばかりでしたが、みなさんたいへん丁寧な応対をされておりました。
館内の撮影はスマホ、ガラケーのみ可能ということで、カメラでの撮影や三脚、自撮り棒は禁止とのこと。過去に撮影目的のファンと家族連れでトラブルが生じたり、展示スペースの通路が狭い為と言った理由のようです。
館内に入ると「ゼロ戦」「隼」など軍用機に詳しくない人でも、耳にしたことがある名前の飛行機が並びます。たいへん綺麗な状態で展示されていて、格納庫のような展示室からは、いまにも飛び立ちそうです。天井から吊り下げ展示されている飛行機も迫力があります。時々スタッフの方が館内を回ってプロペラなどを拭いておりました。
零式艦上戦闘機(ゼロ戦)21型・52型
旧日本海軍の主力戦闘機です。ゼロ戦です。採用された1940年(昭15年)は皇紀2600年だったため零式とされました。
飛行館では、3機復元してあります。21型2機と52型です。
まず、21型ですが、ゼロ戦初期の量産機です。こちらの21型はほぼ現存部品にて復元されているのとこと。
もう1機の21型は外装を付けない状態で公開しております。
次に、52型はゼロ戦の後期型です。また、現在稼働する唯一のゼロ戦のエンジンが展示されていました。
一式戦闘機(隼)1型・2型
こちらは旧日本陸軍の主力戦闘機です。「隼」は愛称です。
1型と2型の区別はプロペラで判別可能です。1型は初期生産型でプロペラは2枚、2型は3枚になっています。
2型はニューギニアで回収された機体から復元したもので、2020年の公開予定でしたが、その年はコロナで休館したため昨年からの公開です。
館内で販売している書籍「隼よ甦れⅠ」「隼よ甦れⅡ」に1型2型それぞれの復元の模様が記録されています。
九三式中間練習機
日本海軍の操縦士養成用練習機で複葉機です。尾翼が赤いため「赤とんぼ」と呼ばれていました。
一式陸上攻撃機(一式陸攻)
旧日本海軍の主力攻撃機として使用されれましたが、現存するのはここだけです。
近年修復を重ねてきたもので、現在は胴体のみ修復されています。砲撃種の乗る機首部分が風防になっていて、たいへんにクリアです。
桜花一一型
旧日本海軍の特攻機です。自走はできないためほかの飛行機(上記、一式陸攻など)に吊るされ、目標付近で切り離され、敵艦船に体当たりします。機首部分が長いのは爆弾が搭載されているためです。
屋外展示
屋外は野ざらしでやや傷んでおりますが、ブルーインパルスなど戦後自衛隊にも導入されたアメリカ製の戦闘機が並んでいます。
おわりに
すべての展示機にきれいなプレートで端的で丁寧な解説がついていました。ファンではない筆者にも分かるように書かれています。たった8月ひと月の展示だというのに、手を抜かずちゃんと博物館になっています。
カメラ撮影禁止の理由からも分かるように館長と館の姿勢がファンだけではなく、家族連れや一般の方にも見てもらいたいという印象を強く受けました。毎年少しずつ変化があるそうなので、ぜひまた来年も訪れてみたい博物館です。
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