【AIRY】郁個展「echoes」を見に行く
はじめに
note201回目となる今回は、甲府市の中心部にある「AIRY(エアリー)」(アーティスト・イン・レジデンス山梨)にて開催された郁個展「echoes」(2024.9.21~23)の模様を紹介します。
甲府市在住の画家郁氏の初の単独個展となります。木霊のように駆けまわったという様々なイメージを色彩と音で表現した作品展です。
トップ画像は本展のメインビジュアル作品《pollinator》より「花」と「媒介者」のアップです。
「AIRY(エアリー)」についてはこちらをご覧ください。
郁個展「echoes」
郁氏は甲府市在住の画家です。絵画のほかに、版画やサウンドも創作されているといいます。
「AIRY」での展示は2022年(令和4年)に3人によるグループ展に続き2回目で今回は初の単独開催となるといいます。
郁個展「echoes」(2024.9.21~23)は、木霊のように駆けまわった様々なイメージを色や光、音で表現した作品展です。
「AIRY」の2階がギャラリーです。
初日はオープニングイベントが開かれライブ演奏も行われ、会場に入り切れないほどの盛況だったようです。
筆者は2日目の午後に訪ねたため、ゆっくり鑑賞してお話を伺うことが出来ました。
Find Home
展示は「Find Home」「echoes」の2つの絵画作品群にて構成されます。ほかに、ドローイング、オリジナルぬいぐるみ作品などがあります。
まず、会場に入ってすぐの壁にある《hug》と題された作品です。昨年の誕生日に描いた作品だといいます。心地よいこの世界観で作品を創作していきたいと生まれた連作が「Find Home」です。
この連作の光景は、お茶の間、道端、多元的宇宙の中心、パーティー会場、机の上、これらの要素が共存するような空間だといいます。
また、児童書や絵本に対するあこがれの要素を取り入れており、楽しい気持ちになれる絵を描いたのだといいます。
独自のやさしい色彩は、水彩をベースにしてアクリルで描き、仕上げにパステルも組み合わせているといいます。
もともとは水彩画で描いていたそうです。「水彩絵の具を塗り重ね、深く暗い色の作品を描いてた。」と、それが「ぼんやりと明るい、暖かく、自身の気持ちを落ち着かせるようなものになっていった。」と。
こうした変化により生まれたのが今回の作品です。
郁氏のホームページを拝見すると、暗い色の作品があることも分かります。
echoes
続いて、本個展のタイトルにもなっている9枚組の作品「echoes」です。
正方形は「Find Home」で描いた風景からの着想からトリミングした作品だからといいます。
スピーカーからは同時進行で制作されたというシンセサイザー録音によるサウンドが流れています。
正方形にて描かれているため、作品によっては上下左右決められた向きはないそうです。本展の設営中に横方向の流れの作品を90度向きを変えて縦方向の展示に至った作品があるといいます。また、今後さらにこだまして9枚が16枚、25枚と広がり、変化していく可能性も示唆されていました。
また、この中心をなす作品には《pollinator》のタイトルがあります。《pollinator》とは「媒介者」という意味。蝶や蜂などは自然界で花粉を届ける媒介者の役割を担っています。作品では、中央の花に対して、左の赤く蝶のような姿をした媒介者が表現されています。
そしてキャンバスに描かれた作品があります。こちらもHUGがテーマだといいます。この作品はライブハウスで描いたとのこと。HUG(する妖精たち)が空間内にちりばめられています。
グッズの販売もあります。絵葉書のほか「echoes」のサウンドを収録したCDなどです。
おわりに
3連休で街中も行楽地も渋滞して慌ただしい気持ちのなかで、ぬくもりを感じる作品に出合いました。
音や声には波長があり波長の重なりで出来上がっているように、色彩もそれぞれ重なり、反響、共鳴、関わりあって出来上がっているのだと感じさせていただく作品展でした。
CD「echoes」と絵葉書セット(3枚入り)を購入して帰りました。
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