【釈迦堂遺跡博物館】企画展「Jomon Collection-笛吹市-」を見に行く
はじめに
釈迦堂遺跡博物館では、新たな企画展として「Jomon Collection-笛吹市-」(2023.2.8~5.29)を開催しています。
「Jomon Collection」は日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」の県内市町村の構成文化財や縄文時代の資料を展示するシリーズです。第1回として笛吹市から出土した資料を展示しています。翡翠製硬玉大珠、黒曜石の木葉型尖頭器、土偶「みさかっぱ」「てらたん」なとが展示されています。
釈迦堂遺跡博物館の概略は拙稿をご覧ください。
Jomon Collection-笛吹市-
企画展「Jomon Collection-笛吹市-」(2023.2.8~5.29)は一階の企画展示室で行われています。笛吹市から出土し、同市が所蔵する縄文の資料のうちお よそ50点を展示しています。
笛吹市は甲府盆地の南側の縁に広がる扇状地に多く遺跡が発見されています。笛吹市の中でも境川町や御坂町、そして釈迦堂遺跡のある一宮町などに遺跡が多くあります。
桂野遺跡
まずは深鉢型土器が並びます。ケースの左から3点は笛吹市を代表する遺跡の一つ桂野遺跡のものです。またもう1点は市六遺跡のものです。
続いて土偶ですが、基本バラバラにされて発見されるため体の頭部や上半身など一部が多いです。全身がある「みさかっぱ」「てらたん」は特殊な部類です。
ケース左から「みさかっぱ」と「肩こり土偶」です。どちらも桂野遺跡の土偶です。「肩こり」のように見えますが、何か舞でも表現しているのではないでしょうか。桂野遺跡からは163点もの土偶が出土しています。
土偶の頭部ですが、こちらの3体も桂野遺跡の土偶です。左の2体はともに「ハチマキ土偶」と呼ばれています。
西原遺跡
次に、西原遺跡からの土偶が2体あります。
前付遺跡
前付遺跡の土偶「てらたん」が後方の単独ケースにあります。井戸尻考古館の重要文化財土偶「始祖女神像」に似ているといわれます。「てらたん」も「始祖女神像」も右足が発見されていません。
深鉢型土器がこちらにも並びます。一の沢遺跡と前付遺跡です。
前付遺跡からは、焼成粘土塊が出土しています。住居が火災に見舞われて粘土の塊が焼けたものです。解説によれば火災のあった住居は土器の作業空間だったようです。
翡翠製硬玉大珠
翡翠製硬玉大珠です。ライトアップされています。11センチと通常サイズの培ちすて大きさと穴があけられている様子は圧巻です。
金山遺跡、銚子塚遺跡
目を引く釣り手型土器は金山遺跡からの出土です。顔が意図的に壊されています。出土数が少ないことから祭祀的な使用目的と考えられています。
顔面取手、黒曜石
顔面取手と黒曜石です。
注口土器のある土器のほかに、縁だけの確認ですが、西原遺跡の水煙文土器なとです。
周辺の土偶デザイン
釈迦堂遺跡博物館の周囲は土偶をデザインしたものなどであふれています。目の前の中央自動車道のフェンスに土偶や桃の花のデザインがされています。
また、駐車場のすぐ隣にある畑には土偶風のアイテムが並びます。私有地のため眺めるのみで立ち入りは出来ません。
博物館では、エントランス前にある土偶の頭部「しゃかちゃん」の巨大なオブジェがお出迎えしています。
一時は品薄だった3Dプリンタで制作したミニチュア土偶のガチャ(500円)があります。現在のバージョンは3個に1個の割合で「当たり」として金色の缶バッジが同胞されています。
筆者は、2回まわして1つ缶バッジ入りが出ました。
おわりに
笛吹市には考古資料を通年展示する場所はありません。春日居郷土館があるのですが、総合博物館としての位置づけであることや、小川正子記念館を併設しているため、笛吹市の考古資料は、県立考古博物館や今回のように釈迦堂遺跡博物館における展示が多いように思います。
ちなみに、過去に筆者が春日居郷土館を訪問した時、翡翠製硬玉大珠、土偶「てらたん」がありましたが、エントランスロビーの奥に小さく展示されていました。扱いが本当に小さく気づく人は少数でした。
釈迦堂の周りは3月でまだ桃の花は咲いていませんでしたが、これからシーズンに入り桃の花につつまれることでしょう。
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