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【アトリエアッシュカ】「能登半島地震チャリティー展」を見に行く

はじめに

 甲府市の旧甲州街道の近く「柳小路」という昭和時代の香りを残す横丁の飲食店街があります。その奥に一昨年オープンしたギャラリースペースがアトリエアッシュカです。
 以前紹介したアーティスト・イン・レジデンス「AIRYエアリー」の代表坂本氏から案内をいただきアトリエアッシュカの「NOTO AGAIN 能登半島地震被災地復旧・復興チャリティー展」(2024.5.3~6、5.10~12)に足を運びました。


柳小路

 柳小路は飲食店を中心に最盛期には35店舗が軒を連ねました。ピークだった昭和時代の雰囲気を残しつつ、カフェやクラフトビールといった新しいお店も誕生しています。焼売シュウマイ定食が有名な喫茶椿さんもここにあります。

柳小路の奥から表通りを望む

 また、「柳小路」の表通りはかつては柳町といい甲府の城下町でした。以前紹介した道祖神祭りで幕絵が飾られた通りです。

 柳町(遊亀通り)は道路の拡幅工事が進んでいて、立ち退いた跡を利用したコインパーキングばかりが目立ちます。しかし、横丁の柳小路は小さい飲食店がひしめきあったまま昔の雰囲気を残しています。夕方訪れたところおいしそうなカレーの香りも漂ってきました。知らなければ、路地の奥に美術スペースがあるとは思いもよりません。

アトリエアッシュカ

 柳小路は、そのま進むと直角に曲がり旧甲州街道側に出ます。そこには甲州銘菓「黒玉」で有名な澤田屋さんの店舗があります。
 アトリエアッシュカの代表塚原氏によれば、澤田屋さんの実家をリノベーションしてアート空間にしたものといいます。2022年(令和4年)から不定期に美術やジュエリー、工芸などの展覧会を開いています。
 ダイニングカウンターがありオーナー、アーティスト、来館者がお茶を囲んでお話を出来る交流空間となっています。

 当初、筆者は作品の鑑賞と募金を目的でやってまいりました。建物の撮影をしておりませんでしたので。建物のカットは公式サイトより拝借しました。

出典 : アトリエアッシュカ公式サイト

NOTO AGAIN

 5月の連休とその翌週にかけて「NOTO AGAIN 能登半島地震被災地復旧・復興チャリティー展」(2024.5.3~6、5.10~12)を開催しています。15人の県内アーティストが賛同して作品を提供いただいたとのこと。作品の売り上げはすべて義援金として寄付します。

能登の美しい海岸
賛同した15人のアーティスト名

 会場におられた坂本氏に案内いただき、そのあとカウンターでお茶をいただきながらオーナーの塚原氏にチャリティー展を開催した経緯などを伺いました。
 金沢で絵画教室を開いている知人がおられるそうです。連絡をするとその方は大丈夫だと言われたそうです。しかし、添えられた写真を見るとても大丈夫ではないと感じて、いてもたってもいられず、山梨の作家さんたちに声をかけてチャリティー展覧会の開催にこぎつけたとのこと。
 短期間のうちにでここまで準備して復興チャリティー展開催してしまうオーナーの行動の速さと、協力されたアーティストたちの結束の強さに驚かせられました。

 壁やダイニングカウンターの後ろのテーブルに作品が並びます。

テーブルの上の作品

 カラフルな立方体たち。

あさのゆき《Cube》

 かわいいお顔は紙粘土できています。

小池歩《No.139》《No.148》

 こちらは、古屋良昭氏による、第32回やまなし文学賞大賞宮本彩子「クレソン」(山梨日日新聞連載)のための挿絵原画です。

古屋良昭「クレソン」挿絵原画
(左より)井坂健一郎《ANOTHER PARADISE-1207》
菊島澄子《つぶやき》
日原瑞枝《竹叢》
石井一弘《クレヨンシリーズ》
岩崎永人《HAKIMONO》
こちらの椅子も作品

 浅川洋氏は、第32回やまなし文学賞小説佳作小林安慈作「流刑地にて」(山梨日日新聞連載)の挿絵を担当されておられます。ダイニングカウンターで連載の切り抜きを拝見しました。

(左より)山本かつ江《星降る街 2023》
浅川洋《視る2》ほか

 奥にも作品が並びます。

(奥左より)
石田泰道《種子》
菊島ちひろ《flores》

 3月に「AIRY」で個展を開いていた大方岳氏の作品がありました。大方氏は予定通り美術留学のためドイツへ渡ったそうです。

大方岳《 Clouds》
奥にも大方岳氏の作品

 こちらは、坂本泉氏の陶芸作品です。タイトルの「忍野日記80's」は、氏が80年代に忍野村で陶芸の大家松田冨彌氏のもとへ通い、手ほどきを受け焼いた作品とのこと。

坂本泉「忍野日記80's」

 こちらは展示中に購入先が決まった作品。こちらも忍野村時代の作品とのこと。

坂本泉「忍野日記80's」

おわりに

 筆者が立ち寄ったときは訪れる人が途切れませんでした。中には柳小路を歩いていて、偶然立ち寄った方たちもおられました。中心部が寂れたと言われて久しい甲府の町ですが、アートの世界は有志たちによって広がりを見せています。
 昭和レトロの柳小路は、古い雰囲気も残しながら、旧来の店舗と新店舗が共存し面白い空間になっていっています。表通りは拡幅されてもずっと残っていくことを願うものです。


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