【井戸尻史跡公園】咲き始めた大賀ハスを見に行く(2023.7.9)
はじめに
富士見町の井戸尻考古館に隣接する井戸尻史跡公園の大賀ハスが咲き始めました。例年7月上旬から8月が見頃となります。
6月28日に第1号が咲いたそうで、まだまだ開花している花が少ないながらもピンク色の花を咲かせています。膨らんだつぼみが沢山あり今後見ごろを迎えます。
井戸尻考古館で始まった企画展示の観覧に合わせて咲き始めの大賀ハスを見てまいりました。
大賀ハス
大賀ハスは1951年(昭和26年)、千葉市検見川の落合遺跡から発見された弥生時代のハスの実を育て開花されたものです。植物学者の大賀一郎博士(1883年~1865年、明治16年~昭和40年)に依頼し3粒の栽培を試み、1粒のみ開花に成功しました。このハスは大賀博士の名をとり大賀ハスと名付けられました。
現在、各地で大賀ハスと呼ばれているものはすべてこの1粒の種子から育ったハスの株分けです。
ハスはもちろん種子から育てることができますが、ハスの種子は遺伝子が変わりやすいため種子で増やしたものは大賀ハスとはいえません。もし「大賀ハスの種」といって売っていたらそれは、大賀ハスではありません。
井戸尻史跡公園の大賀ハスは交雑しないように、花が散って種子になるところはすべて摘み取って管理されています。
ハスの花を見るならば早朝に行かなければなりませんが、筆者は、時折小雨の降る日の午後に訪れましたがそれなりに見ることができました。
ハスの花は、朝開いて、太陽が昇ると閉じてを繰り返します。4日ぐらい開いて閉じてを繰り返しますが、日が経つごとに閉じる力がなくなります。そして最後は花びら散ってしまいます。お昼過ぎてもまだ開いている花はもう散る間際ともいえるので、勢いのある花を見るならば、やはり朝見に行ったほうがよいのです。
井戸尻史跡公園の大賀ハス
考古館の外や史跡公園の道路に面した駐車場に案内図があります。
大賀ハスは下画像で朱円をつけた場所、史跡公園の一番奥にあります。
駐車場からハス田へ降りる道があります。足もとに気を付けて進みます。途中にはスイレンやヒツジグサなど水生植物が植えられています。また、漁山紅蓮というピンク色の濃い種類のハス田が手前にあります。見物のグループの方や写真愛好家の方がおられました。
井戸尻史跡公園のハス
大賀ハスは2002年(平成14年)に富士見町の姉妹町である西伊豆町の個人から株分けしてもらったものです。
ハス田の隣にはスイレンやヒツジグサなどもあります。ヒツジグサは午後に咲くのでその名があるそうです。
また、この史跡公園にハスの植栽を始めたのは1995年(平成7年)に遡ります。ちょうど国道20号の新国堺橋の交差点まで下る新道(縄文街道)が出来た頃です。もともとは私有の水田だったものを史跡公園として町有化しました。
始めに植栽されたのは、スイレンと漁山紅蓮でした。漁山紅蓮は丈は大きく濃いピンク色の花が咲きます。
ほかに埼玉古代ハスがあります。こちらは水車小屋の近くで考古館から来ると真っ先に見えるせいか、開花がピークになるとこちらだけ見物して帰ってしまう方がおられます。大賀ハスでしたら奥ですのでご注意ください。
井戸尻史跡公園内での昆虫、植物の捕獲採取は禁止ですのでご注意ください。ちなみにホタルも自生しています。今年も6月にホタルが舞っているのが確認されています。自然環境を守りながら散策を楽しみましょう。
観蓮会
観光協会主催の観蓮会も恒例行事です。本年(2023年)は7月15日(日)の予定です。考古館館長によるハスの説明があります。かつてはハス茶の振る舞いや野菜の販売ありましたが今年はどうでしょうか。
ハスの株分け
例年4月29日(昭和の日)には、ハスの株分けがあります。ハス株は成長すると根が混んでくるためハスを抜くのです。過密しすぎるとハスの勢いがなくなります。そうして抜いたハスのレンコンを分けてしているのです。朝から始まり無くなり次第終了です。また、ハスの生育具合によっては株分けできない場合もあります。最新の情報は富士見町の広報(ネットでも読める)でチェックするとよいです。
ちなみに、スイレンは有料ですが、ハスの株は無料で分けてもらえます。分けた株に花芽がついているかどうか保障できないためお金は頂けないとのこと。そもそも大賀ハスを咲かせるのは難しいそうで、かつてH前館長に咲かせるコツを伺ったところ「実のところおらんとうもわからねぇだ」と言っていました。
また、ハスについては、日々作業いただいているシルバーさんや2016年(平成28年)に結成された井戸尻応援団のみなさんの活動により維持管理されています。
おわりに
以上、富士見町の井戸尻史跡公園で咲き始めた大賀ハスについてご紹介しました。朝の早い時間に訪れればハスの美しい花を見ることができると思います。ハスやスイレンなど水生植物に触れながら、自然環境を大切に散策を楽しみください。