【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(8) 「絵手紙展」と「アートギャラリー」
はじめに
ぶどう畑の中にある山梨最古の美術館こと笛吹市青楓美術館では、絵手紙展と毎月変わる小さなアートギャラリーを継続していて集客に一役買っています。
「しあわせ絵手紙展」は毎年10月に応募作品の入替が行われて1年間青楓美術館にて展示されます。今回で「絵手紙展」は10回目となります。
「ぶどう畑のアートギャラリー」ではデイサービス作品展の話を伺い、こうした発表の場を持っていることの良さを感じました。
2009年の閉館危機(再掲)
青楓美術館は2009年(平成21年)に入館者の減少を理由に閉館を決めたことがあります。しかし、それまで市側の取り組みが無かったことを指摘され、入館者数の増加に向けた取り組みを行ったところ入館者数は回復し2010年(平成22年)に閉館の方針を撤回したという経緯があります。
そのとき始めた企画が「しあわせ絵手紙展」と「ぶどう畑のアートギャラリー」でした。
第10回しあわせ絵手紙展
笛吹市では、ほぼ1年を通じて「しあわせ絵手紙展」の作品を募集をしています。応募作品のすべてが青楓美術館に展示されます。毎年10月に入れ替えを行っています。絵手紙展のみの観覧は無料です。
階段の壁に飾られた作品はこれまでと同様に全国から寄せられた作品が並びます。自由に描くところが晩年の津田青楓に通じるものがあります。
絵手紙の点数が入れ替え前と比べ少ないように感じました。職員の方に伺うと、昨年よりは少なくなったそうです。もっとも昨年がコロナの影響で発表する機会の減った方たちからの応募が殺到して例年のほぼ倍になっていたそうで、例年の規模に戻ったか、少なくなったくらいとのことでした。作品は205点あるそうです。
なお、これまでの絵手紙の作品は、各年度ごとにはがきホルダーに収められ、青楓作品の展示室の畳の部屋で手に取ることができます。
ぶどう畑のアートギャラリー「一宮絵の会作品展」
「ぶどう畑のアートギャラリー」は、受付前のエントランススペースをサークルや個人の作品の発表の場として月替わりで提供する小さなギャラリーです。本ギャラリーのみの観覧ば無料です。
12月の作品展は「一宮絵の会作品展」(2023.12.1~12.24)です。地元の絵画愛好グループの作品展です。昨年10月にもこちらのギャラリーで「一宮絵の会作品展」(2022.10.3~10.30)を開催しています。
作品は、16点で人物画、静物画、風景画などです。
作品の一部を紹介します。
《ウクライナに平和を》は、テレビで見たウクライナの少女が心に残り、平和が訪れるように祈って描いたといいます。
《洋梨とパンジー》は、黄色や白のパンジーの花が印象的で、立体的に見えるように工夫して描いたといいます。
《小春日和》は美しい秋桜の水彩画です。《静物》も花を扱った水彩画です。
こちらは地元の風景《一宮の桃畑》です。
名勝昇仙峡の入口にある小さな湖、千代田湖を描いた《千代田湖の風景》です。
ぶどう畑のアートギャラリー「一宮町写真部作品展」
1月の作品展は「一宮町写真部作品展」(2024.1.10~1.28)です。地元笛吹市一宮町の文化協会の写真部の作品展です。青楓美術館での作品展は初となるそうです。
およそ15点の写真作品が並びます。ただし期間の前半と後半で作品の一部を入れ替えをしており期間中で20点の展示になります。
「初春」と題された北海道のタンチョウです。
「ここはどこ?」とのタイトル、どこですか。
「春の輝き」は慈眼寺の桜や菜の花です。
笛吹市の名物祭り「川中島合戦絵巻」の武田本陣です。
一瞬外国の風景かのように感じましたが富士山と収穫した田でした。
見事に実った柿の木と冬の始まり空です。
ぶどう畑のアートギャラリー「甲州一宮デイ作品展」
2月の作品展は「甲州一宮デイ作品展~下手でもいい、下手がいい~」(2024.2.1~2.29)です。昨年に続いて2度目の作品展となる甲州デイサービスセンター一宮事業所の利用者さんの作品展です。
昨年は「甲州一宮デイ絵手紙展」(2023.2.2~2.28)として絵手紙の展示でしたが、今回は、さらに川柳、編み物、スクラッチアートなど作品が加わりました。利用者さん20名の作品50点が並びます。
ちょうど、デイサービスセンターのスタッフさんが来られていてお話を伺いながら観覧しました。
絵手紙は10年ほど前に山梨市の山下ひろみ先生(故人)に手ほどきをうけたのが始まりとのこと。花とかは実際の切り花を見ながら描いているそうです。
「ありがとう左手~左手に思いを託して~曽根平治作品展」(2022.11.1~11.30)の曽根さんの作品がありました。絵手紙2点とスクラッチアートです。
こちらは、ぬり絵作品と川柳です。
かつては施設の中だけで展示して関係者、ご家族に見てもらっていたそうです。しかしコロナの拡大によって施設内への立ち入りが難しくなりました。そこで昨年から青楓美術館のギャラリーで展示するようになりました。美術館にて見てもらうとなると利用者さんの気持ちの入り方も違うそうです。
手作りのおみやげが用意されています。コーヒーかす(地元のケルンコーヒー提供)を使った消臭剤、手縫いの雑巾、食器洗いスポンジです。
ひとつひとつ丁寧に作ってあります。雑巾は縫い目の柄や糸の色が個々に変えてあります。消臭剤は袋や麻の紐の縛り方も丁寧に仕上げています。雑巾は使ってみると手ごろなサイズで水を良く吸うので台所用に重宝します。
来年も予定しているとのことなので、ぜひ来年も作品におめにかかりたいです。
おわりに
今回は津田青楓の作品ではなく、絵手紙とギャラリーの紹介をいたしました。絵画、写真、デイサービスと笛吹市一宮町のグループが続きましたが、それだけ地元における作品発表の場として定着している証だと思います。
3月には青楓作品の展示替えが予定されていますので機会を見て紹介したいと思います。
青楓美術館は、本年10月に開館50周年を迎えます。市の方針により存続の危機にあり、いまも現地存続のための署名運動は続いています。
市は統合の意向はあるにせよ現存最古の美術館の50年を大きく祝ってほしいものです。