ーイブ・サンローラン展ー『Palais Coloré』エッセイ2023/11/15掲載
イブ・サンローラン展 時を超えるスタイル」へ
現在、六本木にある国立新美術館で開催されている
「イブ・サンローラン展 時を超えるスタイル」へ行って来ました。
シャネル、クリスチャンディオール、イブ・サンローラン‥、
コロナが落ち着いた一昨年頃からハイブランドの展覧会が都内美術館などで続いています。
それぞれのメゾンの真髄を垣間見れるこうした展覧会は、
とても興味深くて、新しい気づきや発見もたくさんあるものです。
このポスターのメイン画像にもなっていて、多くの方が一度は目にした事があるモンドリアンルックのワンピース。
イブサンローランが1965年に発表したミニドレスです。
オランダの抽象画家ピート・モンドリアンの作品に着想を得てデザインされています。
会場は一部の展示室のみ写真撮影可能となっていましたので、
写真で会場の様子をご紹介させていただきますね。
こちらが実物のモンドリアンルックのワンピースです。
写真では何度も見ていましたが、実物は初めて見ました。
白地に黒の線で分断された生地に、鮮やかな原色を配置してデザインされています。
現代からすると、細身で小柄なワンピースですが、インパクトがありますよね。
これは現代アートをファッションに落とし込んでデザインすることの可能性を広げた作品と言われています。
幾何学模様がファッションに取り入れられると、無機質な図形なはずなのに、
自然の温かみを感じるから不思議なものです。
こうした一見異分野と思われる物事の融合的な反応を見ると、とてもワクワクします。
また、今回の回顧展では、イブサンローランの類稀な才能を改めて感じることが出来ます。
ご存知の通りファッションの素晴らしさはもちろんのことですが、
ドローイングの洗練されたタッチは必見です。
展示されている数多のデザイン画は、まるで呼吸するかのように自然に描かれているように感じます。
また、幼少期から絵が上手で、そのデッサン力には驚かされます。
子供2人を育てていると、冷静に思うのですが、
誰も教えていないのに出来てしまうような、
ある種の秀でた能力を持っている人間は、いるところにはいるんだなと。
イブサンローランが16歳の時、母親のファッション誌を切り抜いて、
自らの想像で作り上げた「紙のクチュールメゾン」は、精巧で緻密で、
想像の世界を作り出す独創性はため息が出るほどでした。
貴重な展示でしたので、是非、見ていただきたいなと思います。
華やかなクチュール感に溢れたドレスだけでなく、
サンローランが私達に与えてくれたファッションは現代のファッションの礎になるものばかり。
トレンチコート、ピーコート、タキシードドレス、パンツルック、サファリルックなど、
今では定番となっているスタイルも彼が作り出しています。
イブサンローランの言葉で素敵なものがありました。
「ファッションは女性を美しくするだけのものではない、
女性に自信と安心を与えるものだ」
この言葉に、少し勇気が湧いて来ませんか?
日常生活にファッションは欠かせないものです。
ですが、消費されるファッションよりも
自分に自信と安心を与えてくれるファッションを楽しみたいですよね。
流行のファッションもたくさんありますが、無理せずに、
自分を満たしてくれるファッションを楽しめば良いと言ってくれているようです。
作品もたくさん展示されていましたので、是非、足を運んでみてくださいね。
カラーズの皆様からのレポートも楽しみにお待ちしています。
(会期は終了しています)
https://ysl2023.jp
イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル
国立新美術館にて2023年9月20日〜12月11日開催。本展はイヴ・サンローラン美術館パリによる全面協力を得て、没後日本で初めて開催される回顧展です。