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中学生から賞金を没収するJeSU公認プロライセンスの問題点を考える。

カバー写真は「パズドラ」最強決定戦 中学生の優勝が1つの波紋を呼んだ【TGS2019】より

どうも、あずろです。

今回は、先日の東京ゲームショウで開催された「DRAGON BOOST presents パズドラチャンピオンズカップ TOKYO GAME SHOW 2019」において、JeSUの規定により、優勝したゆわ選手が賞金を獲得できなかった問題について考察していきます。

このニュースの概要

上記のニュース記事を読んでいただければ分かると思いますが、こちらでも簡単に内容を紹介します。

9月14日に、パズドラのプロゲーマーによる賞金付き大会が行われ、ゆわ選手が優勝を収めました。しかし、JeSU 公認プロライセンス規約では、「ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス」に該当する選手は賞金受け取りができないため、ゆわ選手は優勝賞金500万円を受け取ることができませんでした。

JeSUとは

日本のeスポーツの動向を詳しく追っている方はご存じかと思いますが、改めてJeSUについて説明していきます。

JeSUとは一般社団法人日本eスポーツ連合のことであり、日本におけるeスポーツの振興を通して国民の競技力の向上及びスポーツ精神の普及を目指し、これをもって経済社会の発展に寄与することを目的として設立された法人です。

JeSUは国内外で活躍できるeスポーツ選手の育成や地位の向上を目指すべく、プロライセンスの発行やライセンス認定タイトルの指定を行っています。

プロライセンスの問題点

今回の場合、JeSU 公認プロライセンス規約 4.2 「ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス」の以下の内容に該当します。

4.2.3 ジュニアライセンス保持者は、JeSU が IP ホルダーその他関係者と協議
の上で別に定める場合を除き、予め賞金(報酬)を受領する権利を放棄す
るものとするが、JeSU において相当と認める範囲のものに限り、賞品を受
領することができるものとする。ただし、金券に類するものとして JeSU が
別途判断するものは賞品としても受領することはできないものとする。

この規約内容の問題点として、なぜジュニアライセンス保持者が賞金を獲得できないのかの明確な理由が無い放棄した賞金はどのように扱うのか明記されていない、の2点が挙げられます。

また、このジュニアライセンスを保持しているのは今回優勝したゆわ選手ただ一人しかいません。

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わたしはこれを見て、「お前は子供だから賞金は没収な!」とジュニア選手を搾取の対象にしているように感じました。

また、

4.1.3 チーム戦への参加はチームライセンスがない場合でも、チーム内に少なくともジャパン・e スポーツ・プロライセンス、ジャパン・e スポーツ・ジュニアライセンスのいずれかを問わず 1 人のライセンス保持者がいれば、
プロチームとして JeSU 公認の賞金(報酬)付き大会に参加できるものとす
る。ただし、賞金(報酬)を受領できる者は、ジャパン・e スポーツ・プロ
ライセンス保持者のみとする。
4.3.2 「ジャパン・eスポーツ・チームライセンス」を保持するチームが JeSU 公認の賞金(報酬)付き大会に参加した場合、大会賞金(報酬)を受領できる者は当該チームとする
5.2 この規約に別に定める場合を除き、JeSU 公認プロライセンス保持者は、プロとして出場した JeSU 公認の大会において、プロとしての特典(賞金(報酬)などを含むがこれに限らない)を獲得できるものとする。

上記の通り、JeSU公認の賞金付き大会では、プロライセンス保持者のみ賞金を獲得することができるようになっています。

裏を返せば、アマチュアは賞金を得ることができず、海外プロが出場しても同様に賞金は得られないということです。

明らかなアマチュア排除、JeSU公認プロの囲い込みだと思います。

まとめと考察

JeSUの浜村弘一理事は、プロライセンスを発行しプロ選手に対する報酬とすることで景品表示法をクリアできるとしていましたが、消費者庁の回答より、eスポーツ大会の賞金が景品表示法に抵触しないことが確認され、しかもプロライセンスの有無が関係ないとされました。

それにも関わらず、今回のようなケースが出てきてしまうと、どうしてもJeSUが自己利益のためにライセンス制度を設けていると捉えられても仕方がないと思います。

特に、JeSUの認定タイトルではない「フォートナイト」においては、13歳以上のプレイヤーであればプロアマ問わず大会に参加でき、賞金も獲得することができます。

日本のプレイヤーでもアマチュアで世界大会に出場し、多額の賞金を獲得しているプレイヤーもいます。

JeSUのプロライセンスは、

競技性、興行性ある大会等へ出場するゲームプレイヤーとしてプロフェッショナルであるという自覚を持ち、スポーツマンシップに則り、国内eスポーツの発展に寄与し、ゲームプレイの技術の向上に日々精進することを誓約する者

に発行し、

7.3 ライセンスの取得資格を得た者は、JeSU 公認プロライセンス申請時に反社会的勢力の排除等に関する誓約書を提出するものとする。
7.4 JeSU 公認プロライセンスの取得資格を得た者は、JeSU の指定するところに従って、ドーピング禁止、納税方法、競技におけるスポーツマンシップなど、e ラーニングによる講習を受けるものとする。
7.6 誓約書その他 JeSU が定める規定に反する行為(チート行為など)を行った選手
は、JeSU において協議の上で、相応の処分を課される場合がある。

上記のような規定があることは評価すべきだと思います。

今後、プロライセンスをJeSU公認大会で賞金を獲得するために必要なもの、ではなく、JOC(日本オリンピック委員会)の設ける強化指定選手のように競技力向上のサポートを行ったり、海外遠征の援助を行うなどといった事業を展開していけばよいのではないかと思います。

日本のeスポーツの発展につながるような改善を期待します。

【参考資料】

「パズドラ」最強決定戦 中学生の優勝が1つの波紋を呼んだ【TGS2019】

一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト

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