【最高の山ごはん(山エッセイ)】
昨日、山ごはんの醜態を書いたばかりだが奇跡は最後に起こっていた。
夏に向けて暑さに慣れるためにあえて暑い日に低山縦走を選んだ。荷物もわざとテント泊と同じくらい詰め込んで行った。疲れるのは狙い通り、とはいえ暑さがきつすぎた。持ち込んだ水5リットルが底をつきかけていた。ひたすら小刻みに上り下りを繰り返す縦走路の最高地点、小仏城山に到着した時点ですっかりバテていた。まともなごはんも食べてないし。
でも、これであとは高尾山を経由して帰るだけ。若干の登り返しはあるものの帰り道みたいなもの。山頂の山小屋で休んでからすぐに出発するつもりでいた。
普段、平日は休む山小屋が多いので城山茶屋も休みだと思っていた。ところが山頂には「営業中」のノボリがはためいている。不幸中の幸い。やった、これで還りの飲み物が補給できる…と思い山小屋に近付くと看板になんとカキ氷の三文字が書かれている。
真夏と思うほどの猛暑。
景色の良い山頂。
歩き通してヘトヘトの身体にカキ氷!
美味しくないはずがない。
一も二もなく注文した。山小屋で氷を作るのだって大変だろうに値段は400円と良心的。普通盛りでも十分にたくさん入っている。シロップもかけ放題。
スプーンで氷をすくって口の中に入れた瞬間、甘さと冷たさがはじけた。登山の熱と日差しの熱ですっかり火照った身体にフワフワの氷が溶けて染み込んで来る。最高すぎる。幸せとはこういうものかと、氷の冷たさを噛みしめる。
暑い日に山の上で食べるカキ氷。
あっという間に食べ尽くしてしまった。
間違いなく今まで食べた中で最高の山ごはんだった。
過去の山ごはんの失敗を帳消しにしてくれるほどの。
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また新しい山に登ります。