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【山ごはん失敗男(山エッセイ)】

ここまで山ごはんに失敗するとはもはや才能が無いのだと思うしかない。

かつてテント泊中にバーナーを忘れた時にはぬるい水にチキンラーメンを突っ込んで、何を思ったかサバ缶も突っ込んだ。火を入れて温められたら美味しいらしいが当然、水チキンラーメンとサバ缶なので気持ち悪くなった。やる前にわかりそうなものだけど。

そんな失敗からもうすぐ二年。最近は山に行くときにはおにぎりやパンばかり持っていく。これなら失敗はない。でもたまには何かちゃんとしたものを食べたい。テント泊の楽しみのひとつはキャンプ地で食べる山ごはん。日帰りの登山で色々試してみればテント泊でも美味しいご飯が食べられるかも知れない。

と思ってコンビニでうどんを買った。ちくわ天とたまご天の入った冷やしうどん。保冷剤と一緒に持っていって昼に食べるつもりだった。まずは簡単なところから何かアレンジを加えてみて美味しい山ごはんを模索しよう。

ところが天気は6月とは思えない猛暑の35℃の予報。低山縦走の予定なので、炎天下の中歩き続けてうどんがもし傷んでしまっては困る。

「そうだうどんを冷凍して持っていけばいいんだ!」

名案だと思った。前日の夜に中身をジップロックに移し替えて冷凍庫に入れた。ちくわ天とたまご天も一緒に。

猛暑の今日、夏山トレーニングとして暑い低山を歩いたあとに早速、昨日冷凍しておいたうどんを開けた。

カチカチに固まったままのうどん。カチカチの棒みたいなちくわ。カチカチのたまご天。食べる段階になってふと「もしかして凍らせたらたまご天って凍らせたら不味いんじゃないか…?」と思った。やる前にわかりそうなものだけど。

でも持ってきてしまったものは仕方ない。意を決して凍ったたまごを口にいれる。ザクザク食感のシャーベット状氷黄身は一口噛むと口の中いっぱいに危険が広がった。昔、痛んだ鶏肉を口に入れた時でさえこんなものは感じなかった。美味しいとか不味いとかではない。危険。噛んではいけないものを噛んでいると身体中が警告している。悲鳴を噛み殺すようにして飲み込んだ。とにかく水で流し込んだ。たまご天を凍らせるべきじゃなかった。なんでやる前にわからなかった?

山ごはんの才能が全く無い。

もう山での食事は諦めてこれからは食パン担いで山に登ろう。

今日は暑いし、まともなごはんが食べられないしで、きつい山歩きだった。

景色は良かったので、それが一番のご馳走だった。と、思うことにする。

腹は減っても景色はキレイ。






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東武@ペンシルビバップ
また新しい山に登ります。