【過去一番の絶景(山エッセイ)】
大倉尾根から塔ノ岳を抜けて丹沢山へ。
丹沢主脈線を縦走した日のこと。
今年は8月の富士山は天気に恵まれたものの、9月以降はなかなか晴れに遭遇せず、どの山に登っても景色が見えず雨が降ったりとイマイチの登山が続いた。
10月になると山梨方面の登山口へ向かうバスが平日も動いてくれるので(10月、11月以外は土日しか動いていない) 甲府盆地と富士山の絶景を狙って山へ行ったものの、雲に閉ざされて景色の見えないことばかり。
これは本当に富士山で今年の運気を使い果たしてしまったか、なんて思っていた。
ところが10月後半になって、絶好の天気に恵まれた。塔ノ岳はこの3年間で二十回以上登っているけれど、この日はかつてないほどの快晴。空は秋らしく澄んだ青色で、文字通り雲ひとつない空。昼に近付いても空気が霞むことはなく、まだ雪の降っていない富士山と、紅葉が始まったばかりの山々と、澄んだ青空が一望できる。過去一番の絶景。
何度眺めても飽きることのない景色が山にはあって、どれだけ繰り返し歩いても退屈はしなくて、この絶景を見たくて何度も歩いているんだと初心を思い出せる会心の登山体験だった。
これから冬に向かって景色はますます美しくなる。また何度でもこの景色を探して歩きに行きたい。
また新しい山に登ります。