【人生ノート323】青年にとって戒むべきは依頼心である。あくまで自分の道は自分で開くという決心がなくてはならぬ。
絶対の真理は平面的に表われない
プラトーのいったごとく、直覚は過去および現在における経験の集積である。ゆえに、早く分霊として世に出でたるものほど直覚は鋭く、また分霊の素質のりっぱなものほど、直覚は早く発達す。この質と量とを、より多く備えたるものほど偉人である。
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青年にとって戒むべきは依頼心である。あくまで自分の道は自分で開くという決心がなくてはならぬ。絶対に他人に迷惑をかけぬという気持ちには、よほど苦労した人でなくてはならぬ。
神の慈悲は大きい。だから、いま目前に苦しみがぶらさがっているのも、非常にありがたいことなのである。感謝と希望に充ちて努むべきである。どんなことがあっても、恨んではならぬ、くやんではならぬ、失望してはならぬ。自己の力のつづくかぎり、最善の道を驀進(ばくしん)すべきである。
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総体からみて、人間の智恵というものは不完全きわまるものであり、個々にみて、各自の観方というものは相違しているものである。だからわれわれは、決して他人の説をそのままを鵜呑みにしてはならぬ。
現今は学校などで、先輩の説をあたかも絶対の真理かのごとく教え込んでいるが、これは後になって非常な弊害をもたらすものである。なんとなれば、批判力の未だ足らぬ年少者や無智階級の人びとは、どうしても、それを動かすべからざる真理かのごとく受け取りて、これが先入主となっているため、かえって偏見をいだくに至ることがおうおうある。
『信仰覚書』第一巻 出口日出麿著