そっくりだった、ふたつの背中。

あなたが転校して来たのは夏休み明けの、よく晴れた日でしたね。

転勤族で引っ越しの多かったあなたは友達作りの名人で。生まれ育った大阪仕込みの巧みな話術。それを武器に、あっという間にクラスに馴染んでいきました。

覚えているでしょうか？

あなたと私は後ろ姿が瓜二つだったことを。似たような背格好に、同じような癖毛の髪。あまりに似ているから先生はもちろん同級生にも、よく間違えられましたね。

顔も性格も、何一つ似ていなかった私たち。でも、後ろ姿だけはまるで双子のようにそっくりで。今から思えば。人生であれほどまでに誰かに似ていると言われたのは、あなたが最初で最後でした。

一年後、新たな土地に旅立ったあなた。一緒に過ごした時間は短かったけれど、あなたならきっと大丈夫。だって友達作りの名人だもの。

この青い空の下、あなたは今どこで何をしていますか？

きっともう、会えても分からない。

かつて已己巳己だった、懐かしい後ろ姿。