こころ安らぐ
ここに来るのは、いつ以来だろう。
愛媛県郊外にある、小さな日本家屋。古ぼけた塀の傍には、今年も立派な椿が咲き乱れている。私の幼かった頃と、何一つ変わっていない。
数年ぶりに屋内へと足を踏み入れると、畳特有の落ち着く匂いが頬を掠めた。懐かしい、大好きだったあの香り。
「あらまぁ、いらっしゃい。」
その声に顔を向けると、記憶よりも少し小さくなったおばあちゃんの姿があった。優しい声音。その緩やかな動きの後に続いて、居間へ向かう。
「おぅ。来たんか。」
久しぶりに会うおじいちゃんは相変わらず元気そうで。でもやっぱり、少しだけ小さくなっていた。
「今日来るって言うとったけん、一緒に食べよう思てな。」
そう言って取り出したのは、甘い香りの一六タルト。ここに来る度振る舞ってくれていた、私の大好物。
久しぶりに過ごす、祖父母との時間。
穏やかな会話のお供は暖かいお茶と、思い出の味。
ここは私にとってかけがえのない、寧静の空間。
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