見出し画像

コラム■創造者は「独善」という言葉に怯えることなかれ !

さて、まずは下に貼り付けた画像を見て欲しい。別に自慢や手柄を標榜する気はない。見て頂いた後にこの作品の謂れを紹介するので読んで頂ければ良いだろう。何かを成し遂げようとする人たちの参考程度になれば意味もあろうか。

第一回インバウンド奨励賞受賞作品
公共交通機関・利用啓発プロジェクト

公益社団法人日本観光振興協会という組織がある。
本来、インバウンドに関連してはJNTO日本政府観光局が長きにわたって手掛けてきた経緯があり、日本観光振興協会は国内の観光需要をはじめ様々な取り組みを包括的に担って来た"外郭団体"である。
 ただ興味深い事実として紹介するのなら、台湾という市場については近年までJNTOの対象地域には入っていなかったのである。これは国際政治上センシティブに位置づけられていたことから、台湾市場に関しては前出の日本観光振協会が担っていた。

その公益社団法人日本観光振興協会は毎年ポスターコンクールを開催しているのだが、2018年(平成三十年)のポスターコンクールにおいて、当該団体は初めてインバウンド市場向けのポスターコンクールを催したのである。

参加する団体は概ねインバウンドを呼び込もうとする地方自治体、地方公共団体をはじめ広告代理店などが関わった作品がその大半を占めていた。
賞はどうやら大賞と奨励賞の二つだけだったようだが、応募総数は数十点に及んでいたと聞く。

その中で、私どもは奨励賞を頂けたのである。民間の極小さな研究所、それも有名なデザイナーなどは使用せず、寧ろ外注基本の素人集団が作り上げたポスターだった。私のメンドクサイ拘りは随分と負担をおかけした。
ただ、そのお陰で第一回インバウンド奨励賞という歴史に名を刻む瞬間を得たのである。

さて、実はこれには後日談がある。
団体の名前から見ても、国家行政機関の外郭であることはご理解いただけるだろう。審査員には当然のように然るべきお役所筋、然るべき観光事業関係者のお歴々が名を連ねていた。よって、大賞に選ばれたポスターは当然のようにインバウンド市場からの集客を訴求する性質のものが選ばれたことは多分想像に容易いと思う。

後日、事務局からの連絡で教えて頂けたことは、外部の専門家審査員数名が私どものポスターを強力に推薦してくれたというではないか。その話しを耳にした時。私は自分の持つ感性であり感覚に大いに自信を深めたものだった。同時に、分る人には分かる。伝わる人には伝わるものだと合点した。

お客様を、ゲストを呼ぶことも必要である。が、それ以上に必要なのは、国の制度が訪れるゲストの目に見えるようにするための制度設計であり、その為の取り組みであり働きかけである。
 ことが始まりことが進みだすと様々な問題点がクローズアップされる。インバウンドにおいてもオーバーツーリズムとして様々な問題が都度取り上げられる。であるのなら、取り組む時点で想起される課題について洗い出し、この国の姿勢でありルールは見えるようにしておくべきなのだ。

このポスターを必要とする人はいるか、いないか。
いるのだ。インバウンドだけではない。営業ナンバーを取得しているタクシー会社、バス会社。適切な営業を営む権利を阻害されることなく、事業に携わる人々。必要とする人々がいるのなら、どんなに小さな取り組みも置いてきぼりにするべきではない。

                ■

さて、有体に申し上げればこれも本流ではないのだ。本流はお客様を呼ぶための取り組みとしてのポスターコンクールである。ワッショイワッショイが好きなのだ。リスクのブラッシュアップからなどというと、ネガティブの烙印を押すのがこの国である(笑)
 したがい、審査員が観光系の人達だけであったとしたら、私の作品は賞に選ばれることは無かっただろう。私が変り者たる所以である。

一本前の原稿で、『独善』という行について飛ばしたのだがそれについて書いておきたい。

凡ての創造者に申し上げたいのは「独善」という言葉に怯えるなかれ~ということだ。
何故なれば、独善はゴールではない。独善は創造の始まりであって然るべきものである。大切なのは自分の根が生えている場所であり、身を寄せている場所を客観的に見極めることでしかない。
 それさえ見誤らなければ、独善は独創になり得る。
 始まりの"独善"という言葉を怖がるべきではない。本流に身があるのであれば、寧ろ独善は大いに独創になり得、大いに差別化し得る道具となるだろう。人と同じなんてつまらんだろう ?

独善的だと云われたら、有り難うと云えばよい。
無理だと云われたら、感謝しますと云えばよい。
無駄だと云われたら、待ってましたと云えばよい。
難しいと云われたら、だからやるんですと云えば良いのである。


さて、大谷翔平選手だが……彼について発見したことがある。
三塁打はたった7本しか打っていない。
二塁打はたった16本
ホームランも含んでヒット数は112本である。
大谷翔平という男。ホームランを打つことの方が簡単なのだ。
全ヒット数の31%がホームランである。

観方を変えると世界は常に新鮮なのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?