関節可動域(ROM=ロム)っていうな!
みなさん、こんばんは。
4月も始まり、というかもう終わろうとしています。
私の職場では、新人PTが入職して、新人指導で慌ただしい毎日が続いております。
リハビリにおける基礎的なことを、教えている最中なので、Noteでもしばらくは基本的なところを復習していこうと思います。
本日のお題は、『関節可動域』についてです。
・関節可動域とは?
そもそも関節可動域って、どのような定義でしょうか?
調べてみると、関節が動きうる範囲(可動可能な範囲)のことを指すようです。
関節可動域と言っても、関節によって基準値が違います。
まずは、それぞれの関節ごと測定方法や、基準値を知ることから始めましょう。
・関節可動域に影響を与える因子
関節可動域に影響を与える因子として、考えられることは以下のことだと考えています。
①年齢 ②性差 ③自動運動か、他動運動か
①年齢について
小児から大人まで患者さんは幅広く整形外科には来ます。
年齢によって、可動域の基準値の変化が生じたりするので、比較する際にはエイジマッチング(年齢を一致させること)も重要だと思います。
一番イメージしやすいのは、歳をとってくると腰が曲がってきますよね?
これは文献データとしても、年齢が重なると脊柱の可動性が徐々に低下すると言われていることから、歳をとると腰が曲がるという事象は、明確なものとなってきます。
②性差について
男女の違いによっても、関節可動域に影響を与えます。
一般的に、男性よりも女性の方が、関節の可動性が高いことはよく知られています。
『全身弛緩性』という言葉をよく耳にするかと思いますが、これは全身の関節に過可動性を認めることで、女性に多いと報告されています。
この『全身弛緩性』を客観的に評価することで、特有の疾患が起こりやすいかどうかや、怪我をするリスクが高いかどうかが判断できます。
beigton scoreについて
全身弛緩性を評価するのに、東大式全身弛緩性テストというものが一般的ですが、私は『beigton score』が簡便でいいなと思い、使用しています。
得点が高い場合は、それだけ柔軟性・可動性が高いと判断できます。beighton scoreと障害・外傷の発生率に関する報告は多くはありませんが、論文によっては、スコアの値が高いと実際に、下肢傷害が増えると言った報告もあります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1725309/pdf/v039p00628.pdf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1006136/pdf/annrheumd00017-0018.pdf
③自動・他動運動について
次に、自動運動と他動運動についてです。関節を動かす様式は二つに分かれます。
能動的な可動域=自動運動
受動的な可動域=他動運動と解釈しています。
・自動運動について
自動運動からわかることは、自分自身で動かしてもらう可動域のため、『筋力や、筋発揮の状態、協調性』が正常に働いているかが判断できると思います。
例を挙げますが、膝関節の屈曲を自動運動で行ってもらうとします。
痛みなく、膝が曲げれても、つま先が外を向く(下腿が外旋)してしまっていれば、いくら痛みがなく曲げれていても機能的(協調性と言っていいのか?)が破綻していることは一目瞭然です。
また、『自動運動の際に痛み』が生じている場合には、基本的には、筋等の収縮する組織が引っ張る力を関節に加えているので、
『筋や、その組織が付着する部分等の痛み』を考えていきます。
・他動運動について
他動運動は、他者に動かしてもらった際の可動域のため、被験者による能動的な関節運動は起こりません。
つまりは、筋などの収縮組織が収縮したことによる痛みは除外されます。
『非収縮組織』にかかる、伸張・圧縮ストレスなどを考えます。
ただし、可動域の最終域に起こる痛みの場合は、別で『収縮組織』がかなり伸張されることになるので、最終域での痛みに関しては、『収縮組織』による痛みということも念頭に置かなければなりません。
このように、関節可動域に影響を与える因子はたくさんあります。
普段何気なく、可動域を取っていても頭の中では考えることがたくさんありますね。
特に、他動運動の評価では、関節の遊び(Joint play)や、副運動(アクセサリーモーション)など考えることがたくさんあります。
こちらに関しては後ほど、記事を書きたいと思います。