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「趣味は写真です」と言うようになるまでの10年間

趣味は何ですか? と訊かれた時の私の答えの一つに「写真撮影」というものがある。
持っているカメラは一眼レフ1台、レンズも標準レンズ1本のみという何とも貧弱な装備だが、それでもここ最近では撮影のためだけに遠出することもしばしばある程度には写真が好きだ。

しかし、いつから自分は「写真が趣味だ」と思うようになったのだろうか。
自分の趣味の中では比較的新しい部類のはずだが、何か明確なきっかけはあっただろうか。

今回「写真が好き」というお題をいただくにあたり、そんなことを振り返る良いきっかけをいただいたので記憶を遡ってみることにした。


改めて手元に残っている写真をひっくり返してみると、一番古い写真は10年ほど遡った2012年の風景写真だった。

2012年春 / 京都

改めて見て、我ながら「何を撮りたかったんだ」と苦笑した(何なら上の方に自分の指まで映り込んでいる)。
日付から思い返すに、これは恐らく京都に単身学会に行った時の写真だろう。

撮影機材は、親から譲り受けたいわゆるコンデジ。
他にも何枚か同日の写真が出てきたが、いずれもとりとめのない風景や土地特有の建造物を撮ったものばかりだった。
恐らくこの頃は「旅行に行くからカメラを持っていこう」くらいの感覚で、その土地に行った証を残すような形で写真を撮っていたのだと思う。

2012年秋 / 京都

この年の後半になってくると、少しずつ「風景」を意識した写真がぽつぽつと出てくる。旅行に行く機会が少しずつ増えてきたことも「風景」を意識する一つのきっかけだったのかもしれない。
とは言え、スマホもなく写真は全てコンデジで撮っていた時代。
夜景に感銘を受けてその光景を収めようとしても、中々思い通りに撮れないことが悲しかったことを覚えている。

2012年秋 / 北野天満宮

一年後、2013年。私は一つ目の大きな転機を迎えることになる。
携帯電話のスマホへの機種変更である。

2013年 / 宮崎・発売間もないiPhone5で

手軽に、しかも綺麗な写真を撮れるようになったという衝撃は凄まじかった。
スマホと言えば、常日頃持ち歩く物。その「常日頃持ち歩く物」で画質の良い写真が撮れるようになったことで、私と写真との距離はぐっと縮まった。

それでも「写真を撮るなら、それに特化したコンデジで」と思っていた私は、いざ旅行となればコンデジを持ち歩くようにしていた。
そんな矢先、2014年の春。私のカメラ人生は二つ目の大きな転機を迎える。
部活同期との海外への卒業旅行である。

2014年春 / ドイツ

同期八人での旅行の中で、うち三人が自前の一眼レフカメラを持参していた。
気の向くまま撮影をするその姿はまあ楽しそうで、機材メーカーもたまたま同じだった三人は途中でレンズを交換し合ったりもしていた。

何と無しに撮影した写真を見せてもらうと、そこにはそれまでの自分では表現できないような「景色」が広がっていて。
あまりの衝撃と羨ましさで、一週間近い旅程の中で何回か友人にカメラを貸してもらったほどだった。

そうして一眼レフカメラの虜になってしまった私は、善は急げと同年の夏、同じくカメラを嗜んでいた部活の先輩からアドバイスを受けつつ「マイ一眼レフ」を購入したのであった。

そんなマイ一眼レフの初出勤は、購入後すぐに予定されていた沖縄旅行。
スーツケースに荷物が満載になるようなスケジュールの中、決して小さくはない(しかも初めての)一眼レフカメラを持っていくことは正直おっかなびっくりだった。
が、現地についてしまえば仕上がる写真の美しさに感動し、夢中でシャッターを切っていた。

2014年夏 / 沖縄

その後は旅行が趣味の彼氏(現在の伴侶)に色んな土地に連れ出してもらい、旅行先で印象に残った景色を写真に収めながら数年を過ごした。

2015年 / ケルン大聖堂
2016年 / 山形・酒田市
2017年 / 箱根 彫刻の森美術館

一眼レフカメラを買ってから数年。
年に数回は写真を撮る機会があったこともあり、素人ながら撮りためてきた写真の枚数はそれなりのものになっていた。

とは言え、当時特段の発信の場を持っていた訳でもなし。
撮りためた写真は「いつか振り返るもの」としてメモリーカードに入れっぱなしになっていた。

それを「何となく寂しいな」と思ってしまった私は、撮った写真たちを何か形に残るようなものにしたいと思い立った。そこで始めたのが「自作カレンダー」の作製である。

2018年作製 / 自作カレンダーの一部

自作と言ってもそんな大それたものではなく、「写真を送ればそれをテンプレートにはめ込んでカレンダーを印刷してくれる」という素晴らしいサービスを利用してのものだった。
それでも仕上がったものが手元に届いた時、自分のこれまでの軌跡が「形」として残されたことに心が震えたことを昨日のことのように覚えている。

このカレンダー作製をきっかけに、私の撮影スタイルは「旅行に行くから写真を撮る」というものから「写真を撮るために旅行に行く」というものに徐々に、しかし明確に切り替わっていった。

2020年 / ソレイユの丘
2021年 / 曽我梅林
2022年 / 国営ひたち海浜公園

こうして、一眼レフカメラを買ってから約10年。
私はいつしか「趣味は?」と訊かれた時に「写真撮影です」と答えるようになっていた。

撮影に出られるのは年に数回で、レンズも1本しか持っていなくて。
それでもカメラを持って出かける時は、胸の高鳴りを抑えられない。
だから、私の趣味はこれだと言って差し支えないのだと思う。

コンデジからスマホに撮影手段が広がり、
念願の一眼レフカメラを購入し、
カレンダーを作るようになり、
撮影のために出掛けるようになった。

この10年は私のカメラ人生にとって、停滞することのない激動の10年だった。
そしてこの先の10年も、きっと私の人生は常に新しい風を私に吹き込んでくれるカメラと共にあるのだと思う。

2023年 / ドリプレ・ローズガーデン

まだまだ撮りたいと思うものが沢山ある。
その高揚と喜びは、これからの私の心に温かな光を灯してくれている。

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