プラスチック製容器包装の回収 瀬戸市
2022年10月から愛知県瀬戸市でもプラスチック製容器包装の分別収集が始まった。
資源ごみは、「びん・缶・ペットボトル」と「紙類・古布」が1週おきに収集されており、プラ製容器包装は紙類の週に加わる。すでに他自治体では行っているところも多いので「いよいよか!」というところだ。スタートしたばかりでわからないことやとまどうこともある。瀬戸市役所環境課(ごみ減量担当)の堀田博嗣さんにお話を伺った。
なぜ回収が始まったのか
瀬戸市の燃えるごみは、尾張東部衛生組合晴丘センター(尾張旭市晴丘町)で焼却されている。焼却炉は高温燃焼なので、プラスチックでも有毒ガスが発生しないため、これまでは燃えるごみだった。しかし、燃焼時に二酸化炭素は発生する。近隣自治体(尾張旭市、長久手市)ではすでに分別が行われており、瀬戸市も環境負荷の低減のため、またごみ減量のためスタートした。
令和4年10月から11月の実績として、燃えるごみが令和3年度と比較して、843t減量された。プラスチック製容器包装の分別収集の開始により、2か月で87tが資源化された。
筆者の場合
ホームセンターで9月頃、資源物指定袋を発見、「そういえば、もうすぐ始まるんだっけ(え~?めんどくさい~)」と購入。燃えるごみの袋とそっくりの黄色でわかりにくいかなと思った。色については、業者との調整不十分のためとのことで、順次変えていくと新聞報道で読んだ。ならばよし。袋自体をごみにするのはそれこそムダだしみんなで使い切りたいものだ。最近は黄色と共に新しい白色の袋が売られているのも見る。サイズは45L、大きいので1か月分かと思ったが2週間でいっぱいになった。こちらも後に30Lも登場した。
最初の収集の日におっかなびっくり運んだところ、すでにちゃんと指定袋が並んでいた。みんな、やるなあ。慌てたのは、他の資源ごみも新しい収集袋で出してあったこと。資源物指定袋にはチェック欄があり、ミックスペーパーや古布にも適用できる。持ち帰って確認したところ、今までのまとめ方でも良いのでひと安心。
ただし、ひとつの資源物指定袋には1種類の資源物のみで、混在させてはダメ!と堀田さんが強調された。
まとめ方のヒント
プラ製容器包装は意外とかさばる。「こんなに!?」と集まった達成感もあるが、溢れそうになるときも。まとめるコツはあるだろうか。筆者の場合、卵パック、ヨーグルト容器など、重ねられるものは重ねる。食品等の外袋も、平たく重ねると、折りたたむより場所を取らない。ひと手間かかるが、3分の1くらいかさが減った。
切ったりつぶしてよい
堀田さんによるとプラスチックごみは量の割に軽い。つまり空気が多い。なので素材のデコボコの部分を減らせば良い。具体的には、トレイの4隅を切り開き平たくするとか、大きいサイズは切るとか。円筒形のものなどは、ペットボトルにするみたいにつぶしていいそうだ。「切っちゃってもいいんですか!?」どのみち後で分別工場で小さく切って洗浄するので、切ってもかまわないそうだ。シールについても洗浄するときに剥がれるので、無理に剥がす必要はないそう。
気になる汚れは?
瀬戸市ホームページには次のように書かれている。
中身を使い切り、汚れを取り除いてください。
ただし、汚れ、臭いが取れないものは燃えるごみに出してください。
・汚れの付いているものは、軽く水洗いしたり、拭き取ったりしてから
出してください。
・汚れは見てわからない程度でかまいません。
・洗剤で洗っていただく必要はありません。
・はがしにくいラベルはそのままでもかまいません。
・大きいものやかさばるものは、切ったり、つぶすなどして、資源物指
定袋に入れてください。
主に保管時の衛生のためだという。食品のカスなどが付いていると、腐敗したり虫が来たりする。水分が残っているとカビが生えてしまい健康被害が出ることもある。後に工場で洗浄されるので、神経質になりすぎる必要はないようだ。食べ終えたお菓子の小袋などを「これは…セーフなのか…?」とじっ
と見たり臭ってみたりするこの頃である。
ごみはどこへ行く?(1)
収集されたプラスチック製容器包装は、瀬戸市暁町の民間の分別工場で分別される。具体的には、ごみを袋から取り出して、ベルトコンベヤーで運ばれつつ、人の手で(!)分別される。
このとき取り除かれる、対象外のごみは約10%。「これもプラだし、入れとくか~」と混入させても、取り出されてしまう。なぜかというと、次の法律に基づいているからだ。
容器包装リサイクル法
包装容器を製造したり利用しているメーカーが、商品の包装容器のリサイクル費用を99%負担する。そのかわり、自治体や家庭は分別しなくてはいけない。知りませんでした!プラスチックに限らず、紙やびん、ペットボトルも同様だ。言われてみれば、容器には必ず、「プラ」とか「紙」とか書いてある。「これ、プラかな?」と迷ったら、表示を確認すればよいのだ。
そういうわけで、包装容器のサイクルの流れはできているが、包装容器でないプラスチックは含まれない。包装容器でないプラスチックの再利用の法律はできたばかりなので、今のところは容器以外は「可燃ごみ」として出してくださいとのこと。
資源リサイクルセンター
資源リサイクルセンター(東吉田町)は、資源ごみを持ち込むことができる。収集日以外に出せるのが便利だが、収集日にはまとめて出せるものを、ここでは仕分けしなくてはいけない。缶だと、アルミ・スチール・その他お菓子など。びんだと色別やビール瓶・一升瓶。プラ製容器包装は、白色トレイ・色付きトレイ・発泡スチロール・その他など。「それがめんどくさいなー(めんどくさいばっかり言ってる)」と思ったら、理由がありました!ここできちんと細かく分別しておくと、分別工場を経る必要がないのだそうだ。一工程減るし、分別費用も節約できる。そうだったんですね!そういうことなら、係員さんに教えてもらいながら協力したい。
ごみはどこへ行く(2)
分別工場で分別されたプラスチック製容器包装は、1辺1mの立方体にまとめられ、富山県の再生工場へ運ばれる。
プラスチックは溶かして成型し直すことができる。一度、小さなペレットにしてから、新たな製品へ生まれ変わる。例えば、工場で使うパレットとか駐車場の車止めとか。 たくさんの色のものを混ぜるから地味な色になるのは、筆洗いの水の色と同じだろう。耐久性があり軽いのでさまざまに利用できる。
プラスチックの再利用は、この他に燃料にしたり、化学成分を取り出す方法もある。
今まで燃やしてしまっていたものが、新たに利用できるのは嬉しいことだ。
ミックスペーパー
環境課は、プラ製容器包装収集の開始にあたって、市内約80か所で2500人に説明会を行ってきた。そこで資源ごみの説明をしたところ、意外にもミックスペーパーの収集が知られていなかった。おかげで、2022年10月から、ミックスペーパーの収集量が増加しているという。
市役所環境課の受付横にはトイレットペーパーが積み上げられている。ミックスペーパー200gで1巻になるそうだ。リサイクルが形として見えると励みになる。
9月からは、燃えるごみ・燃えないごみ袋の価格に処理手数料が上乗せされる。つまり、ごみ袋の値段が高くなる。節約のためにも、もちろん環境のためにも、ますますごみ減量に努めたいところだ。
環境課では要望があれば、説明会に出張します!とのことなので、詳しい話や疑問点を聞きたい人は是非どうぞ。
参考資料 瀬戸市ホームページ
広報せと
上杉あずき@STEP