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【ピックアップ】よりぬき逆噴射小説大賞 恐怖の章
ドーモ、azitarouです。
逆噴射小説大賞の応募受付期間は終了しましたが、メキシコに魅せられた有志は変わらず逆噴射プラクティスに新作を投稿し続け、続編を執筆し、ついに400文字の軛から解き放たれた作品がどんどん産み落とされています。感じる……流行が文化として定着し、我々という土壌に根を張る感触を……。人が死ぬ物語だけでなく、捻りを加えた実験的な小説も少なくありません。サイバーネオンや生臭い血の匂いに限らない多様性を感じます。
3章は「恐怖の章」です。人知を超えた存在、現象、世界に踏み入れた人間は一体どんな感情を抱くのか。あるいは日常の隣に異様な気配を感じたとき。恐れ、戸惑い、哀しみ、敬い、興奮……それは登場人物だけでなく我々もまた小説に触れることで同様に感じるものです。それではご覧ください。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
1. よいこの工場見学、ミドリムシ地獄編
モンスターパニックだ。べん毛で首をはねるミドリムシ人間が狂気的で恐ろしい。
2. 食人鬼洞(『双侠伝』より)
武俠小説の導入として素晴らしい完成度であり、混沌の時世が伝わる名文だ。主人公の登場が待ち遠しい。
3. 御使いに栄えあれ
恐怖演出の雄。
4. パラノイア・ファミリー
誰も信用できない。安息が一切ないホラースリラー。心臓がもげそう。
5. 夢の島に眠るゴミを奪え
この後の展開の捉え方が千差万別。ホラー的なドロッとした気だるさが心地いい。
6. ウナギ人間
ウナギだ。地獄のような撮影現場にクレイジーな監督、そして怪物とくれば撮る物は一つ……!
7. フェイクニュース・メイカー
時事ネタの導入から突然の深淵の闇真実に正気度ロール必須だ。どう考えてもヤバい。
8. アーリー・アフタヌーン・ウィズ・ブルー・ブルー・スカイ
あらゆる描写に狂気を感じ、直視できない。
9. ブラッディ・アロハ
アロハが人を殺す!悲しきサラリーマン・スプラッタ・ホラー。アロハシャツが殺意を増幅させる。
10. 大天狗国(テングリア)
新解釈チンギス・ハーン。歴史の闇に葬られた全てのピースが揃ったとき、一体何が起きるのか。
11. ████ classified ████
ちびる自信がある。
12. Watching You
デジタルな数字の推移が想像力を増幅させる新感覚ホラー。傑作すぎる。
13. ルーザース
永遠に続くかと思われた10月。エンドレスプラクティスから目を覚ました残酷な現実とは……。
14. インサイドアウト
理不尽な怒りと訳の分からない恐怖をミキサーにかけたらトイレが2つに増えた。それくらい恐ろしい。
15. グリエルモ・サカラはなぜ消えた?
草の根の聞き込みがフォークロア味を感じる。伝奇・怪奇・都市伝説などに通じる、独特の語り口にグッと引き込まれる。
16. 虚無
虚無と殺意。そもそも”これ”は殺せるのか。この先のシークバーをスクロールするのが恐ろしい。
17. チュパカブラのメリー
爬虫人類の未来……?真の恐怖は夢の世界から始まる、本格チュパカブラ小説。
18. 温泉街の怪人
雪に残る血痕、死んだような温泉街、路面電車の明かり、そして鮮烈な黒と赤。ビジュアルの勝利だ。
19. 白骨、蚕蛾、干からびた島々
何でもない日常から異様な世界へ足を踏み入れる瞬間。文学的で美しい悪夢のような描写。
20. 花の婚礼
美しい建築。鮮やかな色彩。メキシコとはこの世に存在しない幻想郷なのかもしれない。幻想怪奇……
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以上です。感性は人それぞれであり、人によってはその受け取り方は異なるかもしれません。ですが、掲載した作品から私が感じたものは紛れもなく「恐怖」でした。恐れ、畏怖、奇怪……素晴らしい体験です。パルプはあらゆる感性を受け止める大きな器。そこに感情を注ぎ込むのはあなた自身です。では、次章をお待ちください。
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