レコード日和: 内周歪みを何とかしたい!の解決策
レコードデビューして数ヶ月、シャリシャリしない丸い音がアナログの良さか〜なんて思いながら聴いているうちに、だんだん気になり始めること・・・
「内周に行くと出てくるビリビリ音、何とかならないのか!」
CDにMD、iTunesと、デジタルで音楽を聴いて育ってきた世代の僕にとって、まあとても気になります。曲が進むと音質が劣化するってどういうこと??って笑
ネットで情報収集して、水平確認にオーバーハングゲージ調整、針圧確認に接続端子に接触不良がないか確認・・・いじれそうなところ全部いじったけど全然音が変わらない!中古でターンテーブルを買ってきた時についてきたカートリッジに変えても変わらない!まさかトーンアームがだめだから?でも買い換えられないぞ。
困り果てていた時に、一筋の光が…
海外のサイトまで調査範囲を広げて調べに調べまくった結果、どうやらレコード針の形状によって、内周での読み取り性能に差が出るとのこと。曰く、ラインコンタクト針やマイクロリニア針などと言われる、針先が細くてレコードの溝に対して点ではなく線で接触するものがいいらしい。よく考えてみると、僕の持っていたカートリッジって、どっちも楕円針と呼ばれるものだったから、傾向が変わらなかったのか?と思い、期待を膨らませながら、まずは試しと最も廉価なAudio TechnicaのAT-VM95MLを入手。
本当に、内周でのビリビリ音が気にならなくなりました...!
それどころか、音がしないところってこんなに静かだったっけ?という新たな発見も。そのおかげで、より音楽が目の前に現れてきてる実体感がより出てきたように感じます。最内周までびっちり彫られているレコード盤でも難なく再生してくれるなんて、ありがたい。どうやら音圧の高いものだとそれでも歪むように感じることはあるのですが、それはこのレコード盤が意地悪だからだ!と諦めがついてしまいます。
もう楕円針で内周まで音楽を聴けなくなってしまいました。最後まで安心して聴けるラインコンタクト/マイクロリニア針最高!
試聴もできずに買い換えることに躊躇されているならば、YouTubeでマイクロリニア系の針と丸・楕円針を比較している動画を検索してみてください。(モデル名+IGDと検索すると出てきます。IGD=inner groove distortion, 内周歪みです。海外の方がレコードに関するコンテンツが豊富でとても参考になりますね!)こんなに変わるんだ!と驚くはずです。
追記:(2021/12, 2024/1加筆) 内周ひずみは嫌だ、だけど交換針が高いのもね…と思われがちですが、実際の耐用時間を考慮すると丸針とML等ラインコンタクト針でのコストに大差ありません。
(例えるなら、丸針4回買い替え分≒ML針1回分のコスト…といった具合)
現状、現行モデルでは以下のパターンで予算を抑えることになると思います。
①比較的価格レンジが抑えられてる現行モデル:
Audio-Technica AT-VM95ML
Audio-Technica AT-VM740ML, 540ML
②交換針のサードパーティ、JICOが出している接合シバタ針(ラインコンタクト針の一種です)またはSAS針(ML針です)+それに適合する中古カートリッジ本体を入手
以前はSAS針も性能の割に安価でしたが、リーズナブル感はなくなりつつあります(それもそのはず、おそらく人件費・原材料費が高騰しているため。それでも良心的な価格なのは間違いありません)
追記2: (2024/1) 内周とは別に大音量部での歪みにくさは、針を支えるダンパー等複合的な要素が組み合わさって成立するものです。大音量にどれだけ強いかの参考値として、Tracking abilityや、今では見かけなくなってしまったShure TTR117テストレコードの指標があり、クリアしている数値が大きくなるほど大音量に強くなります。Tracking ability「90μm」(テストレコード<オーディオ機器の動作をチェックする用途に使う>でもお使いのカートリッジの大音量の歪耐性を調べることができます)であればまず外周部で極端な歪みを起こしにくいでしょう。
追記3:(2024/1) 尚、別項にも記載の通り、物理的に音溝をピックアップする以上、音楽とは無関係の振動(低域共振)が必ずカートリッジ〜トーンアームで生じます。レコードの反りに反応して共振が大きくなることによる再生影響や、トレース影響を小さくするには、通常軽量なトーンアームを使うこと、かつヘッドシェルの軽量化が効いてきます。