EUで製品のバッテリを取り外し可能にすることが義務化の流れ
EUの環境規制は日米中を遙かに上回るペース
EUで、バッテリに関する新しい法案が可決されました。
ニュースでは、「スマホのバッテリがガラケーみたいに外せるようになる。」と言う見出しで取り上げられました。EUでは、スマホの充電コネクタをType-Cにしなければいけない、と言った他の国や地域よりも踏み込んだ内容かつ厳しい規制が次々と生まれています。
具体的な規制の内容は?
原典にあたれていないので細かいことはこれから調査、解釈をすすめるところです。下記は、ヨーロッパのニュース記事を拾ってきたものですが、実はバッテリを取り外せるようにすることはいくつかある要素のうちの一つに過ぎません。
A compulsory carbon footprint declaration and label for electric vehicles (EV) batteries, light means of transport (LMT) batteries (e.g. for electric scooters and bikes), and rechargeable industrial batteries with a capacity above 2kWh;
Designing portable batteries in appliances in such a way that consumers can themselves easily remove and replace them;
A digital battery passport for LMT batteries, industrial batteries with a capacity above 2 kWh, and EV batteries;
A due diligence policy for all economic operators, except for SMEs;
Stricter waste collection targets: for portable batteries - 45% by 2023, 63% by 2027 and 73% by 2030; for LMT batteries - 51% by 2028 and 61% by 2031;
Minimum levels of materials recovered from waste batteries: lithium - 50% by 2027 and 80% by 2031; cobalt, copper, lead and nickel - 90% by 2027 and 95% by 2031;
Minimum levels of recycled content from manufacturing and consumer waste for use in new batteries: eight years after the entry into force of the regulation - 16% for cobalt, 85% for lead, 6% for lithium and 6% for nickel; 13 years after the entry into force: 26% for cobalt, 85% for lead, 12% for lithium and 15% for nickel.
上から、簡単に言うと、
・大きなEVバッテリのようなものは、CO2排出量を明記しなさい。
・家電のバッテリは消費者が簡単に取り外せるようにしなさい。
・ポータブルバッテリや軽車両用のバッテリの回収率を引き上げる。
・廃棄バッテリからのリチウムやコバルトの回収率を引き上げる。
・新しいバッテリ向けのリサイクル材料の含有率を引き上げる。
と言った内容です。
ちなみにですが、文中に出てくるLMTとは、light means of transport:軽量輸送手段、のことです。
今後の行方
製品からバッテリを取り外せることは、リサイクルをする上では良いことですが、製品設計上の制約(特に防水性能など)に於いてはかなり大きな足かせになる可能性がありますし、サードパーティの(粗悪な)バッテリを利用された場合に、発火の懸念があり、またその責任の所在がわかりにくくなる、と言った懸念があります。
法案自体は可決されたので、この通りに進んで行くと思いますが、製品価格などに転嫁されたり、開発期間が延びたり、製品開発に影響を及ぼすことは間違いないかと思います。今後の具体的な規制や対策に注目です。