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るるいえのはこにわ「心のナイアルラトテップ」公演体制が始まりました
第二作目にかける想い
前作「人間農場」の評判は、存外悪くなかった。
至らないところもあったし、座組には色々迷惑を掛けた。それでもある程度評価が得られていたらしいことは、第二作目オーディションの参加者の声を聞いて実感した。
それなりに、徐々に、狭い世界の中ではあるが、少しずつ名前が知られているようだった。
観に来てくれた人、知り合いが観に行っていて興味を持ってくれた人、その存在が気になっていたという人。
そもそも、ほとんど実績がない劇団が、「こういう雰囲気の芝居をやります」という企画書だけ出しただけなのに、多くの方がオーディション会場に足を運んでくださったことは、本当に有り難いことだ。
私──薊詩乃──は、なんとしてでも、新たなる不浄の物語をつくらなければならなかった。
私は私の世界観を期待されている。だから私は、口に出すのも憚られるほどの異常性や悪意を、不浄なる怪物を、脳髄から捻り出してやる必要があった。
「心のナイアルラトテップ」とは?
ナイアルラトテップ(Nyarlathotep)とは、クトゥルフ神話で最も有名で凶悪な邪神の一柱である。
心の中に、あの怖しい邪神ほどのそれを抱えている人などいないだろうが、多かれ少なかれ、人は闇を抱えているものである。
その闇は、人目に触れることを怖れている。
人は、誰に心の闇を見せられるのだろう──家族? 恋人? 親友?
否、見せられない!
人は、自分の内側を見せられない。見せられるような内側を持てているなら、そんな本性でいられたなら世話ない。
相手相手によって、誰もが接し方を変える。家族に対しての人格、恋人に対しての人格、Aさんへの人格、Bさんへの人格、そして自分自身への人格──そのすべてが、ある意味で真実であるが、別のある意味では真実ではない。
「本当の自分」というものは、誰にも見せられない。自分すら知らない。自分ですら見ようともしない、混沌の無明である。
薊詩乃もそうだった。ずっと封印していた何かがあった。誰にも見せられない何かがあった。
アルハザードのランプを覗けば、揺れる炎に真実が視える。
もう誰も愛さない。
もう誰も許さない。
私は私を赦さない。
「心のナイアルラトテップ」──私はこの物語によって生まれ、そして死んでいく。
私は私を含めた世界すべてを呪っている。
公演情報
るるいえのはこにわ 浮上
『心のナイアルラトテップ』
脚本・演出 薊詩乃
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第一弾ビジュアル
(製作:兎瑠)
公演日時
12月15日(金)19:00
12月16日(土)12:00 / 17:00
12月17日(日)12:00 / 17:00
会場
STAGE+PLUShttp://stageplus.net
(大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目3-5)
予約フォーム
https://ticket.corich.jp/apply/280232/020
チケット料金
学生 2500円(予約・当日)
※窓口にて学生証を提示一般 3000円(予約・当日)
早割
10月15日〜31日までにご予約で
上記価格より500円引き応援チケット 500円(特典あり)
※応援チケットのみで観劇することはできません。※予約特典として今公演オリジナルカードを進呈
キャスト
古杜勇気:大背戸陽介(イエローキャブ神戸)
雪風希望:星加千晴
月花未来:花染あめり(るるいえのはこにわ)
鳥居誠:辻田祥貴
愛原創:C-ma.Mia
闇:中田桂輝(劇団,白薔薇)
スタッフ
作・演出:薊詩乃(るるいえのはこにわ)
舞台監督:小沢佑太(劇団CLOUD9)
制作:白石朔太朗(劇団 右脳爆発)
照明:中原田彩那
音響:古山真之介
宣伝美術:兎瑠
小道具:辻田祥貴
衣装メイク:花染あめり(るるいえのはこにわ)、星加千晴
物販:花染あめり(るるいえのはこにわ)
あらすじ
2021年12月24日。
平出ヶ丘風力発電所で謎の火災が発生。
同時刻、平出ヶ丘の邸宅で、劇作家の古杜勇気が自室で変死を遂げていた。
また、同時期に、彼の舞台に出演予定だった、月花未来と鳥居誠も行方不明になっていた。
1年後。
私立探偵の愛原創は、断続して続く風力発電所の火災事件と、古杜の変死事件の調査をするため、当時古杜の恋人だった雪風希望の元を訪れる。
緊急事態と日常、マスクと素顔の狭間で揺れる2021年。
歪んだ性愛と邪神の狂気が交差する、コズミック・サイコ・サスペンス。