『君を待つ』
「待つ」という行為にのめりこんでいる。
いや、狂っていると言ってもいい。
いつか君がにっこり微笑んでくれるんじゃないか。
いつか君が優しい口をきいてくれるんじゃないか。
いつか君がそっと手を握り返してくれるんじゃないか。
いいや、いっそ、接吻で
私の唇に自分の唇を重ね合わせて
しっとり湿らせてくれるんじゃないか……
そうして――
「待つ」
「待ち続ける」
「永遠に」
ああ……なんて甘美で狂おしい響きだろう。
けして起こり得ないとわかっていながらも
飽くことなく「待つ!」
「待ち焦がれる!」
きっとこれが――これこそが
本当の“愛”というものなのかもしれない。
いいやきっとそうに違いない!
私はそれが二度と起こらないことを知っている。
にもかかわらず、こうして待っている。
それもけして「苦」ではない。
「苦」どころか、起こり得ない奇跡を延々と妄想し、
待って待って待ちわびて、絶えず歓喜に打ち震えているのだ。
――君を手にかけたあの日から。
水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。