『四つの署名』~ホームズなんて足湯小説だ、なんて言ってごめん②~
ずばりホームズは、“語りの文学”であり、“足湯小説”である! 肩まで浸かって息苦しくなることもなく、半身浴30分の根気も必要なく、さらっと浸かって気持ちいい、みたいなw(この感想はのちに覆されました;)
※大昔ホームズを読み進めていた頃の記録メモの②です。
妙な順番で読んでしまっているけれど、
なんの先入観も持ってないせいか、
すっごく楽しめます!
子供の頃、こういうのに触れてこなかったことが
けっこう職業的には、コンプレックスとして
あったのだけれど、大人になって、
なんの先入観もなしに読めるのは、
けっこうラッキーなことかもしれない、と
思ったりしました。
ホームズがコカインやってたのは、さすがに
一瞬、ヒキそうになりましたが(^_^;)
そういう弱い面があって、天才的な面があるから
にくめないキャラになってるのかもと思えたり(詭弁かw)
※マニアの方が読むと、ワトスンの結婚時期に???になったり、
負傷個所に???になったり、困惑するようです。
私はもともと前知識もありませんし、その辺ラフに、
楽しければいいので、素直においしくいただけました!
謎解き、ミステリの要素は少ないですが、
財宝をめぐる冒険譚として存分に楽しめますぞ!
父親が死んでから、毎年高価な真珠が
一粒ずつ送られてくるようになったという、
聡明な夫人からの謎めいた調査依頼…
そして、その意味ありげな冒頭から
テムズ河上で繰り広げられる息もつかせぬ船同士の追走劇と、
やがて明らかになる財宝争奪をめぐる抗争の真相、そして、
死体のそばに残された四つの署名の意味まで、
ぐいぐい読ませる納得の一冊でございました!
ホームズものって、“語り”の文学かも。
とにかく真相は、誰かの口で語られるんだけど、
その語りが聞かせるんですよね。
「それでそれで?」とスルスル読まされる。
※子供によみ聞かせしたら、喜びそう。
飽きそうになると、いいタイミングで
合いの手やら、一呼吸入ってくるし、
訳者の力量もあるのでしょうけれど
生理的にいいリズムが脈動していますな。
ホームズがイキイキしているのは、
実際にモデルが居たせいかしらん?
ともあれ、切実とした現実世界とは違う、
一昔前の"箱庭的"な冒険推理活劇?
この感じが、今の私にうるさくなくて、
ちょうどよく、ほっこり楽しめましたね。
※執筆当時はリアリティのある話だったのかもしれませんが、
今となっては作られた箱庭の中の、
懐かしい冒険活劇みたいに感じられて、
なんだかカワユいのです。変かな?
どっぷり苦しくなるくらい浸る世界とかじゃなく、
そこはかとなく懐かしく、なんとも言えない軽みのある世界が
骨休みの娯楽として、とても居心地いいのです。
足湯?
そう、あんまりやったことないけど、
たぶん足湯!
肩まで浸かって息苦しくなることもなく、
半身浴30分の根気も必要なく、
さらっと浸かって気持ちいい、みたいな。
いつでもサッと世界に届いて、
いつでも抜けれて、またすぐ入れる。
あの世界がいつでも近くにあるって
幸せだなぁ。
ずばりホームズは、“語りの文学”であり、
足湯小説である!(どういたしまして!)
さて、お次は「緋色」に戻って読みたいが
持ってないので、短編の「冒険」を読もうかな~。