『アルスラーン6』/ 荒川 弘 (著), 田中 芳樹 (原著)
もうアニメで先行してみちゃってるんだけど、あいかわらずテンポよく、充実して飽きさせずに読ませてくれる。
双刀将軍・キシュワードも渋いし、ゾット族の少女・アルフリードの健気なナルサスへの思いも愛らしいし、銀仮面卿の執拗ないやがらせ(笑)によって、重鎮バフマンがおどおどして、アルスラーンが正当な王ではない的なことを発言しちゃって。
で、大問題発覚な流れで内圧が高くなりつつ、そこへもってきてシンドゥラ軍の弱い兄王子の方じゃなくて弟の方がでてきちゃって、東方戦線がにぎやかなになってくるわけなんだけど、あの天才ナルサスと無敵の黒騎士ダリューンがいるからね。あっという間に弟王子をふんじばって捕虜にしてしまうところで次回へ。
あの、巫女のファランギースと、楽師のギーヴのキャラってすごく大事な脇だと思う。こういうキャラが書けたらプロだわって思う。
メインキャラだけだと、ストーリーの近視眼的に直面するだけで、読者も頭がしょっぱくなってくると思うんだけど((笑))、こういうちょい外にいるキャラが会話で整理してくれることによって、離れた視点と同化で来て、事態を客体化したり、相対化したりして、より俯瞰的な視点でも楽しめていくんだよね。ふっと温度ゆるめて、冷静に見る効果と、風通しのバランスを整える効果にも使える。
だいたい「座った目」をしたクールなタイプが出てくると、冷静な距離感に同化して、いったんいい距離を保ったまま引っ張られていくことができる。逆に何を考えているかわからない感じで、不穏な空気を出す時にも、ギーヴとか、本音を見せない、懐の深いキャラは使える。
あの前に紹介した「ふしぎの国のバード」の通訳イトも目が座ってるし、パトレイバーの後藤隊長も目が座ってる。さがせばけっこう見つかるはず。君も自分だけの座り目キャラを探してみよう(笑)彼らが登場することで、物語が内省的になって奥行を増したり、不穏になったり、落ち着いて一緒に俯瞰して事態を眺められたり、なにかしら情報量が増して、内圧が高くなったりしてないだろうか?