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坂本龍馬んじゅう
苦し紛れなタイトルもここまできたかと我ながら呆れる。
蕎麦粉で饅頭を作りながら、日本人なら何となく知っているつもりになっている幕末のスーパースターを妄想した記録。
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蕎麦粉 100g (勿論国産。群馬県の蕎麦粉)
米粉 25g
重曹 小匙1
塩 小匙半分
天保六年(1836)土佐國(高知県)に龍馬は郷士である坂本家の次男として誕生。
坂本家は明智光秀の娘婿、明智左馬之助の子孫という伝承があり、坂本という苗字は光秀の居城、坂本城から取っている。
家紋は組違い桝の中央に桔梗。桔梗も明智家の紋。
後年、龍馬は亀山社中という結社を作るが、亀山も光秀の居城の名前。
幼少の龍馬は寝小便たれで弱虫だったが、姉の乙女に鍛えられ逞しく成長。
釼術に長じて江戸の北辰一刀流に入門。江戸で黑船ショックに遭遇。
危機感を抱いて脱藩。勝海舟に弟子入りして神戸海軍操練所で航海術を学び、亀山社中という商社を設立。改組、発展したのが海援隊。
薩長同盟や大政奉還等に尽力。
日本の構造改革を成し遂げた後は船で世界に乗り出そうとしていた矢先、暗殺された。満三十一歳没。
以上が思い切り端折った坂本龍馬の生涯。
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生存中、龍馬はそんなに名前が知られた人物ではなかった。
妻のりょうが龍馬の死後、
「うちの人がそんなに大した人とは知りませんでした」と述懐。
明治十六年(1883)土佐出身の作家、坂崎紫瀾が小説『汗血千里の駒』を上梓。坂本龍馬の一代記であり、まずこれによって世に龍馬の名が知られた。
明治三十七年(1904)明治天皇の皇后、昭憲皇太后が夢に現れた白い着物の武士について語った。
「露西亜との戰が迫っていますが、私が帝国海軍を守護致します」と武士は告げた。
宮内省に勤めていた田中光顕(土佐出身)に龍馬の寫真を見せられた皇后は夢に現れたのはこの男だと告げた。
この逸話から龍馬が組織した海援隊は海軍の元祖のように言われ、龍馬も海軍の父のようなイメージが広まった。
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一般的な龍馬像を決定づけたのは戰後、司馬遼太郎が書いた『竜馬がゆく』
何の後ろ盾も持たない浪人が薩長、幕府、朝廷、西洋の商人等と渡り合い、日本を変革させる活躍。
現在、映画やドラマ、漫画等に登場する龍馬はほぼ司馬の描いた竜馬をなぞっている。
しかし題名を見ればわかる通り、司馬が書いた「竜馬」と史実の「龍馬」は別人と考えるべき。敢えて一文字変えることで司馬もフィクションですと強調。
私は坂本龍馬とは司馬が描いた快男児というよりは、どこか後ろ暗い所がある策謀家と考える。
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互いに面子を氣にして中々、同盟の話を切り出さない西郷隆盛と桂小五郎を𠮟りつけて薩長同盟を成立させた。というのも史実と異なる。
この頃の西郷は流刑から戻ったばかりで決定権はない。実際には薩摩藩家老の小松帯刀によりほぼ同盟の話は出来ていて、龍馬の役割は証人として裏書をしたに過ぎない。
大政奉還についても、龍馬以前に勝海舟や横井小楠によってすでにアイディアは出来ていた。
倒幕後の新政権について纏めた「船中八策」についても龍馬の独創というべき記述はない。
亀山社中が日本最初の商社というのも誤り。小栗上野介が設立した兵庫商社が日本初の商社。↓
北辰一刀流の免許皆伝ながら無闇に人を斬ることはなく、仲間思いと何となくイメージされているが、亀山社中の者が人妻と不倫。龍馬はその男を呼び出して、一刀両断。
饅頭を作っているので、饅頭屋長次郎と呼ばれた人物に纏わる逸話を紹介。
近藤長次郎又は上杉宋次郎と名乗りましたが、実家が饅頭屋だったので饅頭屋と呼ばれていた。
亀山社中の設立者の一人でしたが龍馬の留守中、グラバーの援助で英国留学を画策。それが露見。仲間から責められ、切腹。
自分がいれば、死なせることはなかったと嘆いたと『竜馬がゆく』では書かれているが、龍馬自身の記述では長次郎の自業自得だったかのよう。
仲間であろうと規律を乱す者には鉄槌ということか。
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そもそも脱藩について我々は幻惑されている。
脱藩とは主を見限る行為で親族にも罪が及ぶと『竜馬がゆく』に書かれているが龍馬の脱藩後、坂本家が罰を受けた風がない。
龍馬自身も後年、海援隊ごと土佐藩の世話になっている。
脱藩とは藩上層部と下級武士の密約。
藩を抜けたことにして諸國を巡り、情報収集や場合によっては破壊や暗殺を果たす工作員。それが脱藩浪人。使命を果たせば立身出世。
万一、幕府や他藩に捕まっても脱藩者なので藩と関わりなしとしてトカゲの尻尾切り。
優秀な工作員ならば、脱藩者だからこちらに引き渡して欲しいと交渉してもらえる。
その例が吉田松陰。
土佐ではなく長州だが、何処の藩でもそうしたエージェントやスパイは使っていた。
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どうですか?だいぶ龍馬のイメージが変わったことかと思います。
司馬遼太郎が書いたのは坂本龍馬をモデルにした『竜馬』という人物が活躍するパラレルワールド。
SF小説と思った方がいい。
フィクションとして楽しむ分には司馬作品は素晴らしい。しかしそのまま史実として受け取ることは出來ない。
『竜馬がゆく』に限らず、司馬作品はフィクションとしては優れている。司馬遼太郎は希代のSF小説家と思っています。
司馬は自身の小説の出典を明らかにしていません。もしかしたらすべて妄想?まあ、私の駄文も彼以上の妄想ですが。
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重曹効果で膨らむ膨らむ。
重曹には體をアルカリ性に保つ効果。疲労回復効果も期待出来る。
蕎麦からはビタミンB群や毛細血管を強化するルチンが頂ける。
自家製餡子は小豆を茹でてから黒糖を混ぜた物。甘さは控えめ。この饅頭は甘さよりも蕎麦の風味を楽しむ大人な饅頭。
蕎麦粉だけではパサパサして纏まらないかもしれないので米粉を蕎麦粉の1/4の分量で混ぜた。正解だったようで程よくしっとり。
「世の人は我を何とも言わば言え。我が為すことは我のみぞ知る」
坂本龍馬が詠んだ歌。
『竜馬』の光が強過ぎて、『龍馬』の姿はよりわからなくなっている。
坂本龍馬は幕末という時代、誰も考えていなかったことを為そうとした。
多くの武士にとって倒幕か佐幕かの二択しかない中、どちらでもない第三の道を龍馬は模索していた。そこに真骨頂がある。
龍馬についてはまだ書きたいこともあるのですが、自身で定めている3000字の枠内で収まらなくなってきた。
次回、龍馬暗殺編へ続く?
希代の策謀家だった坂本龍馬を妄想しながら坂本龍馬んじゅうをご馳走様でした。
蕎麦食推進クラブ「さざれ石」に参加しています。