推し、ジム辞めるってよ。【2.沼にハマる前提にあるもの】
前回は「推しの退職告知で呆然とした」プロローグを書きました。今回は「ジムのインストラクターになぜそこまで(笑)」という声に対するエクスキューズを書きたいと思います。同じジムの会員の方なら納得してもらえるかもしれないし、そうじゃない方は読めば読むほど引き潮のように引いていく可能性もありますが、「こんな沼もあるのか」という興味のある方はお読み下さい。
【前提その1】「すごくキツい」強度設定
私の通う某暗闇ボクシングは「EDMなどの大音響の音楽とクラブのような照明の中、45分間ノンストップで動き続けるボクササイズ」を行うところです。NYにあったジムを雰囲気ごと日本に持ってきたベンチャービジネスであり、(フィールサイクル等は既に存在していましたが)他人の目を気にすることなく動ける「暗闇系ジム」の日本における先駆けでもありました。
宣伝やHPを見ると若い女性がオシャレにやってるイメージなのですが、実際はめちゃくちゃキツいです。私はトライアルレッスン開始5分で来たことを後悔し、帰りたくなりました。会員になってからも、腕に覚えのありそうな男性のトライアルさんが来て、女性会員でいっぱいのスタジオで「あ、これオレ余裕だな」と思うのか開始前からサンドバッグをバンバン殴ってる姿を幾度となく見ましたが、どの方も開始数分でマットに沈んでます。対戦とかはないので殴られたわけじゃありません。予想をはるかに超える強度だからです。
最初の10分のサーキットトレーニングでキツさがいきなりピーク。HIITと呼んでいい内容だと思いますが途中休憩はありません。ここで「部活の夏合宿かよ」みたいな状態に持ち込まれ、その後休憩なしでシャドーボクシングパート→サンドバッグパートと移行してゆきます。終わった時には汗だく、疲労困憊、床にへたり込むことになる。「大人になってからこんなに激しく身体を動かしたことなかった」…多くの人がこぼす言葉です。
【前提その2】キツさの末に得られるもの
このキツさ、通ってるうちに慣れてはきます。心肺機能も筋力も上がるので初期の「パフォーマーロードの向こうに三途の川が見える」状態からは脱しますが、慣れるだけでラクにはなりません。毎回ちゃんとキツいししっかり疲れます。
ゆえに何がわき起こるか。圧倒的達成感です。
毎回毎回「オレはやったぜ!オレはやったぜ!」(by「動物のお医者さん」)と咆哮したくなるほどの達成感が安易に得られます。安易というのは「毎回ほぼ確実に得られる」ということで「ラクである」という意味ではありません。つらい45分間を過ごしたからこそ得られる「自分を追い込んだ」「運動がんばった」「こんなに汗かいた」という気持ち。大人になると仕事や恋愛、人間関係でそこまでハッキリした達成感はなかなか得られないので、たった45分でそれを得られるこのジムの効率の良さたるやすごいものです。
というわけで、ジムの推しにハマる前提として「高強度な運動」「安易に確実に得られる達成感」について書きました。次回ようやく「パフォーマー」について語ります。前置きなげーな…。