「ひとつとすべて」作品解説
愛知のGALLERY龍屋にて年末に開催されているアートコンペ「タツコン」、今年は龍屋さんの20周年記念と言うことで作家200人が参加しており、全体テーマである「魂(soul)」もあって会場では魂の込もった作品たちがひしめき合っています。
並べられた実感、私の作品は落ち着いていてなんだか地味であまり目立ちませんでしたが(笑)今回は普段よりもテーマ性が強いので、私の込めた魂について言葉をまとめてみました。
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タツコンの作品を考えるより以前、空の描写がある作品を制作中に「私は青を使うのが苦手だ」と気づいたことがあります。
青は私が好きな自然物に固有色として付いていることがあまりなく、考えてみれば空の青は大気を通した色で、見えないけれど目の前にも大気はあって、さらにずっと向こうに宇宙があることを意識しないと私は実感を込めた青を塗れない気がする…と感じ、これが大気と宇宙について意識するキッカケになりました。
そしてタツコンのテーマとして発表された「魂(soul)」。
思い浮かんだ体験の一つが、遠方に住んでいてなかなか会えなかった祖父が亡くなったとき、部屋でお香を炊いて手を合わせ祖父に想いを馳せたら祖父をとても近くに感じ、「今は想えばいつでも会える」感覚を覚えたこと。
もう一つが、とても大切に思っていた飼い猫が亡くなったとき、冷たくなっていく身体からはそれが抜けてしまったように感じ、最期は病気で苦しんだけれど今は楽になって空で自由に駆けているようなイメージが浮かんだこと。
私にとって魂は、大気の中に混ざっていくイメージがあるのだと思います。
私が大好きな地面に落ちている自然物たち。
多種多様の姿かたちを持って、それぞれに素敵でかわいい。
みずみずしさは次第に失われ、カラカラに乾いていき、砕けて土に還っていく。
魂って、生命って、水分みたいなもの?
蒸発して、大気に混ざって溶けて、世界になる。
残りの乾燥していくものは、いれもの。
ひとつだったものは、すべてに還る。
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私の作品は存在しているものを丁寧に描いていて、写実的ではあるけれど、「目に見えないものが描きたい」と思いながら制作しています。
普段は私の体験、記憶、その時のときめきを主に、湿度や香り、風や音などを作品から感じられたら嬉しく思っていて、かつ今回は自分の持っているイメージも乗せてみることにしました。
表現に関してはまだ試行錯誤している最中ですが、今回のイマジナリー宇宙はうまく馴染んでいい感じに描けたのではないかと気に入っています。
こんな感じです。
ここまで解説を読んでいただきありがとうございました!
こちらの作品はありがたいことにご売約いただきましたので、今回の展示にて見納めとなります。ぜひ会場で原画をご覧いただけたら嬉しいです。
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アートコンペ「タツコン超」ではネットでの遠隔投票も受け付けています。
200点の中から好きな作品4点に投票ができます。
投票は感想とともにプリントされ切り分けられて作家の手元に紙で届くので、参加している作家にとってはこれがとても嬉しいです。宝物になります。
選ぶのが大変かもしれませんがお時間ありましたらぜひ、遠隔投票にもご参加ください。
私はNo.11で出展しています!
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▪️展示会情報
GALLERY龍屋20周年記念企画展「タツコン超」
2023年12月9日(土)~12月23日(土)会期中無休
AM11:00~PM6:00
愛知県尾張旭市柏井町公園通542「GALLERY龍屋」
1年の締めくくりタツコン超!
どうぞよろしくお願いいたします。
(アートコンペの結果発表は会期終了翌日の24日です)