アユタヤ海老

適当に生きていたら、偶然、うまいことになりました。

アユタヤ海老

適当に生きていたら、偶然、うまいことになりました。

記事一覧

隣の部署(小説)

小さなオフィスビルのワンフロアには、二つの部署があった。片方は、爽やかで穏やかな「完璧な会話」が求められる部署。もう片方は、見た目は厳しいが温かみのある「ヤクザ…

アユタヤ海老
3週間前
4

それは俺のマヨネーズじゃね?

アユタヤ海老
1か月前
1

開封の儀

日本でジャムの瓶を開けたことがあれば、おそらく、それだけが力技を必要とする製品だと気づくでしょう。他のもの、ポテトチップスからおにぎりまで、ほとんどには正しい開…

アユタヤ海老
1か月前
1

数分の長い出会い

いつもの彼女が居る。 大手チェーンのコーヒーショップで、僕は毎日のようにヴェンティサイズを注文する常連だった。若くて元気な女性店員さんは、僕のことを覚えていて、…

アユタヤ海老
1か月前
4

Chat Gptの思わぬお役立ち例

皆さんにとっては当たり前のことなのかもしれないけど、おっさんにとっては目から鱗、河童の川流れ、豚に真珠、瓢箪から駒、驚き桃の木山椒の木でした。 私は、Google Blo…

アユタヤ海老
1か月前
2

あいつは外資無理だろ (読切)

ここは新橋の場末の中華料理屋。店主が使う大きなお玉が、中華鍋に当たる音がカン、カーンと、忙しく鳴り響く。 そのすぐ前で、厨房の湯気を被りながら、カウンターに横並…

アユタヤ海老
1か月前

UX、UIを今すぐ無くそう。

こんにちは、まあ、自分が人様に何か提言する立場でも無いのですが、ちょっと最近、思うところがあるのです。 私たちって、時々、あまりにも信じすぎてない? しかも、理…

アユタヤ海老
1か月前
9

日本のスタバ、ちょっと窮屈すぎない?: バンコク在住者のつぶやき

お疲れっす。実は、現在バンコク在住8年目の日本人です🇹🇭。その前にアメリカにも2年間住んでいたので、海外生活は合計で10年になります🌍。 スタバについて、少し、お話…

アユタヤ海老
1か月前
7

ある女性は、郵便物が盗まれることにうんざりしていた。彼女は泥棒を捕まえるために、自分自身にApple AirTagを送った。

自分にエアタグを郵送して、その郵便物を犯人が盗んで、で、その後警察が捜査に及んだということです。頭脳的です。 アップルのエアタグとは、これですかね。

アユタヤ海老
1か月前
1

AILingual (小説)

第1章:何者かの囁き 「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」 開発段階のAIで他人の考えを読み取る装置、アイリンガル(AILingual)から、微かな反応があった。 …

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アユタヤ海老
1か月前

ナッソーカウンティのマスク禁止令と日本のクレーム文化を比べてみたら…

先月、日本に一時帰国した際に感じたことですが、スーパーマーケットに行けばまだまだ「マスク着用をお願いします」なんてアナウンスが耳に入ってきました。細かい内容は忘…

アユタヤ海老
1か月前
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折れた風見鶏達

「今夜、僕のバーにおいでよ。」 病棟のラウンドが終わった高山京介は、ナースの藤井彩夏に囁いた。 「…え?」 彩夏がたじろぐと、高山は一瞬ニコッとした後、その場を去…

アユタヤ海老
1か月前
9

求める男

その男、マイケルは、人生の岐路に立たされていた。7年前、彼がアメリカ中部のある州でフリーターをしていた時、日本へと導いたのは、偶然の出会いだった。ジョナサンの叔…

アユタヤ海老
1か月前
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銀座にあった会社で過ごした「意味のない」日々の意味

だいたいねえ、意味なんてないですよね。そう、タイパとかコスパとか、そんなのないのよ。 新卒で入った製薬会社の支店は、あの煌びやかな銀座にありました。今振り返ると…

アユタヤ海老
1か月前
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隣の部署(小説)

隣の部署(小説)

小さなオフィスビルのワンフロアには、二つの部署があった。片方は、爽やかで穏やかな「完璧な会話」が求められる部署。もう片方は、見た目は厳しいが温かみのある「ヤクザまがい」の部長が率いる部署である。

まず、爽やかな部署

「みんな、おはよう。」腹の出た部長が、軽く酒臭い息を漏らしながらにこやかに挨拶する。社員たちは自分たちの業績が悪化していることには目をつむり、微笑みを返す。
「最近、天気がいいです

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開封の儀

開封の儀

日本でジャムの瓶を開けたことがあれば、おそらく、それだけが力技を必要とする製品だと気づくでしょう。他のもの、ポテトチップスからおにぎりまで、ほとんどには正しい開け方があります。ここにノッチ、あそこに引っ張るタブ。手順を守れば、簡単に開封できます。システムです。そして、日本ではこのシステムが大好きなのです。

パッケージから見る日本人のフォロー体質

こうした細かい配慮は日本人の生活に染み込んでいて

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数分の長い出会い

数分の長い出会い

いつもの彼女が居る。

大手チェーンのコーヒーショップで、僕は毎日のようにヴェンティサイズを注文する常連だった。若くて元気な女性店員さんは、僕のことを覚えていて、毎日、キラキラした瞳とチアフルな笑顔で接客してくれる。それが、何とも言えない小さな幸せだった。

もう昔の話。転勤で数年間住んだ、西日本の地方の都市。国道沿いに、ドライブスルーのショップがある。注文する。窓口から、いつもの彼女がコーヒーを

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Chat Gptの思わぬお役立ち例

Chat Gptの思わぬお役立ち例

皆さんにとっては当たり前のことなのかもしれないけど、おっさんにとっては目から鱗、河童の川流れ、豚に真珠、瓢箪から駒、驚き桃の木山椒の木でした。

私は、Google Bloggerが大好きなのです。あの、軽いフットワークというか、簡単な更新術とかがたまらないのです。

海外のクリエイターのテンプレートを使ったりすることが多いのですが、結構Google Bloggerって昔からあるゆえ、コードもアッ

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あいつは外資無理だろ (読切)

あいつは外資無理だろ (読切)

ここは新橋の場末の中華料理屋。店主が使う大きなお玉が、中華鍋に当たる音がカン、カーンと、忙しく鳴り響く。
そのすぐ前で、厨房の湯気を被りながら、カウンターに横並びに座る木嶋俊介と松田翔太。
グラスのナカの焼酎は定番のキンミヤ。ホッピー黒をぐいぐい飲んで、二人は、退職した菅野太一について話し始めた。

木嶋: 菅野もさあ、大変だと思うよ。俺らみたいな会社で育ってさあ、急に外資に行くなんて、きっと上手

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UX、UIを今すぐ無くそう。

UX、UIを今すぐ無くそう。

こんにちは、まあ、自分が人様に何か提言する立場でも無いのですが、ちょっと最近、思うところがあるのです。

私たちって、時々、あまりにも信じすぎてない?
しかも、理由も無く。

20年前、私はアメリカの片田舎に住んでいました。ニューヨークに行くために電車を待っていたんですが、突然、電車が通常のホームじゃなくて、反対側のホームに到着しました。「えっ、どうして?」って思う間もなく、車掌さんが「oppos

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日本のスタバ、ちょっと窮屈すぎない?: バンコク在住者のつぶやき

日本のスタバ、ちょっと窮屈すぎない?: バンコク在住者のつぶやき

お疲れっす。実は、現在バンコク在住8年目の日本人です🇹🇭。その前にアメリカにも2年間住んでいたので、海外生活は合計で10年になります🌍。

スタバについて、少し、お話しします。そもそも、日本にスタバが来た時のことをよく覚えています。それが記念すべき1店舗目なのか、はたまた2店舗目か3店舗目か、詳細までは定かではありませんが、銀座のスタバが開店当初、朝、会社に行く前に寄っていました。

スコー

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ある女性は、郵便物が盗まれることにうんざりしていた。彼女は泥棒を捕まえるために、自分自身にApple AirTagを送った。

自分にエアタグを郵送して、その郵便物を犯人が盗んで、で、その後警察が捜査に及んだということです。頭脳的です。
アップルのエアタグとは、これですかね。

AILingual (小説)

AILingual (小説)

第1章:何者かの囁き

「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」
開発段階のAIで他人の考えを読み取る装置、アイリンガル(AILingual)から、微かな反応があった。
「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」
田中翔太は飛び起きて、デスクの上に置いたアイリンガルのカメラの先を見た。
そこには、毎朝、同じ時間にやってくる鳩が。
翔太は思わず息を呑んだ。まさか、鳩が人間の会話を盗み聞いて

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ナッソーカウンティのマスク禁止令と日本のクレーム文化を比べてみたら…

ナッソーカウンティのマスク禁止令と日本のクレーム文化を比べてみたら…

先月、日本に一時帰国した際に感じたことですが、スーパーマーケットに行けばまだまだ「マスク着用をお願いします」なんてアナウンスが耳に入ってきました。細かい内容は忘れましたが、マスクしろとか、しないならこうしろとか、まあまあ面倒なことばかり言ってくるわけです。それって、きっと誰かがクレームを入れるから、あれこれ対策してるんでしょうね。例えば、従業員がマスクしてなかったら、すぐにクレームが来るから「すみ

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折れた風見鶏達

折れた風見鶏達

「今夜、僕のバーにおいでよ。」
病棟のラウンドが終わった高山京介は、ナースの藤井彩夏に囁いた。
「…え?」
彩夏がたじろぐと、高山は一瞬ニコッとした後、その場を去った。白い歯が妙に印象的だった。彩夏は一瞬立ち止まると、我に返ってナースコールのあった病室に急いだ。

「ちょっと、彩夏、さっきの何?」
同僚ナースの若松心菜が静かにそして早口で彩夏に話しかけた。
「高山っち、あちこちの病棟でちょっと可愛

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求める男

求める男

その男、マイケルは、人生の岐路に立たされていた。7年前、彼がアメリカ中部のある州でフリーターをしていた時、日本へと導いたのは、偶然の出会いだった。ジョナサンの叔父の庭で開催されたメモリアルデーのバーベキューパーティー。そこで彼が出会ったのは、真美という日本人の女性だった。

真美はアメリカ中部のある州の大学に留学しており、ジョナサンの叔父の家にホームステイしていた。ジョナサンの叔父は、異国の若者た

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銀座にあった会社で過ごした「意味のない」日々の意味

銀座にあった会社で過ごした「意味のない」日々の意味

だいたいねえ、意味なんてないですよね。そう、タイパとかコスパとか、そんなのないのよ。

新卒で入った製薬会社の支店は、あの煌びやかな銀座にありました。今振り返ると、あの頃の時間の流れはとてもゆったりしていて、今の若い世代にはとても信じられないような「意味のない」日常が広がっていました。

朝からおっさんたちはチームを組んで、何やら意味のない会議を開きます。話題がいつもどこかで堂々巡りしていて、これ

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