アユタヤ海老

適当に生きていたら、偶然、うまいことになりました。

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最近の記事

隣の部署(小説)

小さなオフィスビルのワンフロアには、二つの部署があった。片方は、爽やかで穏やかな「完璧な会話」が求められる部署。もう片方は、見た目は厳しいが温かみのある「ヤクザまがい」の部長が率いる部署である。 まず、爽やかな部署 「みんな、おはよう。」腹の出た部長が、軽く酒臭い息を漏らしながらにこやかに挨拶する。社員たちは自分たちの業績が悪化していることには目をつむり、微笑みを返す。 「最近、天気がいいですね。」 またもや無難な話題。数字が赤字に染まっているにも関わらず、誰もそのことを

    • それは俺のマヨネーズじゃね?

      • 開封の儀

        日本でジャムの瓶を開けたことがあれば、おそらく、それだけが力技を必要とする製品だと気づくでしょう。他のもの、ポテトチップスからおにぎりまで、ほとんどには正しい開け方があります。ここにノッチ、あそこに引っ張るタブ。手順を守れば、簡単に開封できます。システムです。そして、日本ではこのシステムが大好きなのです。 パッケージから見る日本人のフォロー体質 こうした細かい配慮は日本人の生活に染み込んでいて、海外に行ってパッケージと向き合ったとき、私たちは力任せに開けることはしません。

        • 数分の長い出会い

          いつもの彼女が居る。 大手チェーンのコーヒーショップで、僕は毎日のようにヴェンティサイズを注文する常連だった。若くて元気な女性店員さんは、僕のことを覚えていて、毎日、キラキラした瞳とチアフルな笑顔で接客してくれる。それが、何とも言えない小さな幸せだった。 もう昔の話。転勤で数年間住んだ、西日本の地方の都市。国道沿いに、ドライブスルーのショップがある。注文する。窓口から、いつもの彼女がコーヒーを渡してくれる。 数分のやり取りだが、激務で疲れた僕にとって、それは心を洗ってく

          Chat Gptの思わぬお役立ち例

          皆さんにとっては当たり前のことなのかもしれないけど、おっさんにとっては目から鱗、河童の川流れ、豚に真珠、瓢箪から駒、驚き桃の木山椒の木でした。 私は、Google Bloggerが大好きなのです。あの、軽いフットワークというか、簡単な更新術とかがたまらないのです。 海外のクリエイターのテンプレートを使ったりすることが多いのですが、結構Google Bloggerって昔からあるゆえ、コードもアップデートされていないことが多かったりします。 例えば、SNSボタンで、昔のイン

          Chat Gptの思わぬお役立ち例

          あいつは外資無理だろ (読切)

          ここは新橋の場末の中華料理屋。店主が使う大きなお玉が、中華鍋に当たる音がカン、カーンと、忙しく鳴り響く。 そのすぐ前で、厨房の湯気を被りながら、カウンターに横並びに座る木嶋俊介と松田翔太。 グラスのナカの焼酎は定番のキンミヤ。ホッピー黒をぐいぐい飲んで、二人は、退職した菅野太一について話し始めた。 木嶋: 菅野もさあ、大変だと思うよ。俺らみたいな会社で育ってさあ、急に外資に行くなんて、きっと上手くいかないよな。 松田: 上手くいかないと思うよ、あいつは。別にそんなにそんな

          あいつは外資無理だろ (読切)

          UX、UIを今すぐ無くそう。

          こんにちは、まあ、自分が人様に何か提言する立場でも無いのですが、ちょっと最近、思うところがあるのです。 私たちって、時々、あまりにも信じすぎてない? しかも、理由も無く。 20年前、私はアメリカの片田舎に住んでいました。ニューヨークに行くために電車を待っていたんですが、突然、電車が通常のホームじゃなくて、反対側のホームに到着しました。「えっ、どうして?」って思う間もなく、車掌さんが「opposite!!」と叫び出したんです。要するに「反対側だよー!」ってことですね。 急

          UX、UIを今すぐ無くそう。

          日本のスタバ、ちょっと窮屈すぎない?: バンコク在住者のつぶやき

          お疲れっす。実は、現在バンコク在住8年目の日本人です🇹🇭。その前にアメリカにも2年間住んでいたので、海外生活は合計で10年になります🌍。 スタバについて、少し、お話しします。そもそも、日本にスタバが来た時のことをよく覚えています。それが記念すべき1店舗目なのか、はたまた2店舗目か3店舗目か、詳細までは定かではありませんが、銀座のスタバが開店当初、朝、会社に行く前に寄っていました。 スコーンと大きめのコーヒーを買って朝通勤途中の銀座を歩くだけで、なんだか「You've go

          日本のスタバ、ちょっと窮屈すぎない?: バンコク在住者のつぶやき

          ある女性は、郵便物が盗まれることにうんざりしていた。彼女は泥棒を捕まえるために、自分自身にApple AirTagを送った。

          自分にエアタグを郵送して、その郵便物を犯人が盗んで、で、その後警察が捜査に及んだということです。頭脳的です。 アップルのエアタグとは、これですかね。

          ある女性は、郵便物が盗まれることにうんざりしていた。彼女は泥棒を捕まえるために、自分自身にApple AirTagを送った。

          AILingual (小説)

          第1章:何者かの囁き 「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」 開発段階のAIで他人の考えを読み取る装置、アイリンガル(AILingual)から、微かな反応があった。 「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」 田中翔太は飛び起きて、デスクの上に置いたアイリンガルのカメラの先を見た。 そこには、毎朝、同じ時間にやってくる鳩が。 翔太は思わず息を呑んだ。まさか、鳩が人間の会話を盗み聞いているとは思わなかった。だが、その内容は明らかに危険なものだった。 「時計塔…テロ

          ¥300

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          ナッソーカウンティのマスク禁止令と日本のクレーム文化を比べてみたら…

          先月、日本に一時帰国した際に感じたことですが、スーパーマーケットに行けばまだまだ「マスク着用をお願いします」なんてアナウンスが耳に入ってきました。細かい内容は忘れましたが、マスクしろとか、しないならこうしろとか、まあまあ面倒なことばかり言ってくるわけです。それって、きっと誰かがクレームを入れるから、あれこれ対策してるんでしょうね。例えば、従業員がマスクしてなかったら、すぐにクレームが来るから「すみません、対策します!」なんて感じで。 マスクとは直接関係ないですが、ファミレス

          ナッソーカウンティのマスク禁止令と日本のクレーム文化を比べてみたら…

          折れた風見鶏達

          「今夜、僕のバーにおいでよ。」 病棟のラウンドが終わった高山京介は、ナースの藤井彩夏に囁いた。 「…え?」 彩夏がたじろぐと、高山は一瞬ニコッとした後、その場を去った。白い歯が妙に印象的だった。彩夏は一瞬立ち止まると、我に返ってナースコールのあった病室に急いだ。 「ちょっと、彩夏、さっきの何?」 同僚ナースの若松心菜が静かにそして早口で彩夏に話しかけた。 「高山っち、あちこちの病棟でちょっと可愛い娘いると、すぐやらかしてるのよね〜。」 心菜が続けると、あなたも気をつけなさい

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          求める男

          その男、マイケルは、人生の岐路に立たされていた。7年前、彼がアメリカ中部のある州でフリーターをしていた時、日本へと導いたのは、偶然の出会いだった。ジョナサンの叔父の庭で開催されたメモリアルデーのバーベキューパーティー。そこで彼が出会ったのは、真美という日本人の女性だった。 真美はアメリカ中部のある州の大学に留学しており、ジョナサンの叔父の家にホームステイしていた。ジョナサンの叔父は、異国の若者たちにとってまるで父親のような存在であり、その暖かい人柄が彼らを引き寄せていた。

          銀座にあった会社で過ごした「意味のない」日々の意味

          だいたいねえ、意味なんてないですよね。そう、タイパとかコスパとか、そんなのないのよ。 新卒で入った製薬会社の支店は、あの煌びやかな銀座にありました。今振り返ると、あの頃の時間の流れはとてもゆったりしていて、今の若い世代にはとても信じられないような「意味のない」日常が広がっていました。 朝からおっさんたちはチームを組んで、何やら意味のない会議を開きます。話題がいつもどこかで堂々巡りしていて、これが一体何のためになるのか、当時の私にはさっぱり分かりませんでした。それでも会議が

          銀座にあった会社で過ごした「意味のない」日々の意味