AILingual (小説)
第1章:何者かの囁き
「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」
開発段階のAIで他人の考えを読み取る装置、アイリンガル(AILingual)から、微かな反応があった。
「…今夜、8時に決行だ。あの大学の時計塔に…」
田中翔太は飛び起きて、デスクの上に置いたアイリンガルのカメラの先を見た。
そこには、毎朝、同じ時間にやってくる鳩が。
翔太は思わず息を呑んだ。まさか、鳩が人間の会話を盗み聞いているとは思わなかった。だが、その内容は明らかに危険なものだった。
「時計塔…テロ