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変わりゆく季節の繋ぎ目で

最近、夜が涼しい。

数ヵ月前は大好きな季節をあんなにも心待にして、わくわくして、あれをしようこれをしよう、なんて考えていたのに、気づいたら大好きな季節は私より少し後ろを歩いていた。

帰路、徐々に低くなっていく気温を肌で感じながら、日に日に高くなっていく鳴く虫の声に耳を傾ける。
夏の虫よりもどこか儚く聞こえるその鳴き声が、心なしか涼しさを演出しているようにも思える。

その、季節を繋ぐ一つ一つが、疲れて内へとこもろうとする私の心を自然と外へと向けてくれる。

 

この町の夏は長かったんだけどなぁ。
そんな思いは小さなため息になって出ていった。

9月になっても容赦なく「肌を刺す日差し」を体現したような日差しが降り注ぐ。
夜になったにもかかわらず、じめじめした空気が半袖から出た腕にまとわりつく。
そんなこの町の残暑。

夏が、嫌な部分だけ置いて走り去って行ったようなこの時期が、前まではとてつもなく嫌いだった気がするけれども、いざその時期が来ないと、拍子抜けして、どこか寂しさすら感じてしまう。

 

ふいに、駅で電車を待つ私の腕の間を、さらさらとした風が、まるで寂しさを煽るかのように吹き抜ける。

いつもより足早に進もうとしているこの季節の繋ぎ目を、もう少しゆっくりと散歩して、次へ待つ秋へと進んでいこう。

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