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西園寺 亜裕太
2021年5月31日 19:44
老人が家の近くを散歩していると河川敷でひたすら両手の上げ下げを繰り返しながらブツブツと何かを呟いている男がいた。怪しい男が気になった老人は転ばないよう慎重に河川敷までの坂を下り、男に声をかける。「何をやっとるんですかな?」「UFOを呼んでるんですよ」そう答えた男は再び「UFO来い〜」とブツブツ呟きながらまた両手の上げ下げを再開する。「UFOなんて来るわけないでしょ」老人は男を小
2021年5月27日 17:34
私と莉里は同じ日に生まれた。同じ日に生まれ、同じように愛され、同じものを集め、同じものを愛でてきた。 だから私たちの好きな人の好みが一致することは何も不思議なことではない。私は知っている。莉里はきっと私と同じで俊人くんのことが好きなことを。そしてきっと莉里も私が俊人くんのことが好きなことを知っている。だから私は今日俊人くんに告白して付き合うことになったことを莉里に知らせるの
2021年5月25日 18:06
友人と道を歩いていると、またパトカーが通り過ぎて行った。最近よくパトカーを見かける。「なんか最近パトカーがよく通るよな?何か事件でもあったのか?」友人に尋ねてみる。「この近辺で連続して爆弾が仕掛けられたんだってさ」「治安の良い街だと思ってたのに怖えな。怖えから引っ越すわ」俺の言葉を冗談だと思ったようで、友人が笑った。☆☆☆☆☆☆☆まったく勘弁してほしい。こんなにパトカーがたくさ
2021年5月24日 17:29
「それじゃあ今から昨日の陸上競技大会の反省会を行うぞ」集まった部員たちを前に、顧問の先生が話し出した。「まず佐藤、お前はよく頑張った。1位を取った子との差は5分だが、マラソンで1位まで5分というのはよく頑張ったと思うぞ」「ありがとうございます!」と佐藤は元気よく返事をした。佐藤のことを話し終えて顧問の先生が次の子に移ろうとしたとき、野崎が横から口を挟んだ。「先生、俺は日本記録まであと