夕日がとてもきれいだったから。
なんとなく。
ただ、なんとなく、することがなく、予定もなかったから空港に早く行っただけだった。
間違えても時間に遅れないように、カウンターから一番近いカフェに入って、コンセントのある席を勝ち取ると、写真をまとめたり、友達と連絡を取ったり、ゆっくりと時間を消費していた。
少し時間ができると行き交う人を眺め、また作業に戻る。そんな短いスパンを繰り返しているうちに、ふと、保安検査場の向こうからオレンジ色の光が漏れていることに気付いた。
「夕日だ」
気付いたときにはからだが動