6月24日2021年 -『ユーラシアの夢』 東西の異なる文化の音と言葉 夢枕コンサートについて
『ユーラシアの夢』 東西の異なる文化の音とことば - text by Ayuo
言葉にはそれぞれ、独自の歴史、文化がある。詩や歌が、翻訳しにくいのは、それぞれの言葉には、その国の歴史の伝統から来る意味がひそんでいるからだ。しかし、それで創作する詩の響きとリズムが、その文化での音楽のルーツとなる。ルーミーの言葉、世阿弥の言葉、英国文学の伝統に、それぞれ独自の意味と響きがある。
僕は小学2年生から中学学の終わりまでルーミーなどのペルシャの伝統曲を歌う義父のところで育った。ルーミーは中世時代に詩、ダンス、音楽を含んで哲学思想を語る独特のスーフィーのムーブメントを創立した。その詩の内容は、今日読むと、とても科学的で現代的だ。今回、ルーミーの詩を歌うアミンは、僕の義父と同じスタイルで歌う素晴らしい伝統音楽の歌手だ。演奏は尺八と箏という日本伝統楽器を含む珍しいヴァージョンになる。
モーガン・フィッシャーは、僕が13才の頃、義父と共にニューヨークのステージで初めてライブを見た。ロック・バンドのモット・ザ・フープルとクィーンのライブだった。両方でモーガンが演奏をしていた。日本に住んでから、彼はアンビエント・ミュージックをはじめ、ジャンルを越えて幅広く活動している。日本伝統音楽の代表者の一人である尺八奏者の中村明一さんと長くコラボレーションをしてきた。モーガンのアーバン・スーフィーも演奏する。
10代半ばに読んだ本で最も好きな小説の一つに、漢詩の連句をシェークスピアなどの英国文学の伝統に基く英語詩に訳された「紅楼夢」という物語があった。素晴らしい翻訳だった。漢字には漢字の伝統があり、一つ一つの漢字に、英語にはできない別の意味があったり、言葉には直接にない別の状況を連想させるものがある。英語の詩には、英語独自の言葉のメタフォアがある。これによって言葉が直接に語っていない別の意味や連想させるものがある。歴史と文化が遠く離れているほど、同じように物事を理解できることは難しい。僕の3人目の父となったのは、英国の人で、僕も英語で育っていた。自分の人生経験を使って翻訳するので、最終的にはパーソナルな言葉と音楽になる。今回、古典的な英語と日本語化した漢詩の語りを含む曲も演奏する。
「夢枕」は異なる感性との出会いを橋渡する。
新たなジャンル、文化をを創造していく可能性を提示する。
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2021年夢枕公演
2021・6・24. THURS.
Open: 18:30 Start: 19:00
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演奏:夢枕
Ayuo
中村明一
立岩潤三
小宮瑞代
ゲスト:
上野洋子
Amin
Morgan Fisher
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曲目:
ペルシャ伝統音楽技法によるルーミー作詞の曲:
1) A Poem of atoms (原子の詩)
2) How could I know that this longing would drive me so crazy (Che danestam)
3) My Beloved (Ba man sanama)
Ayuo:
英語と日本語化した漢詩による「They sat on two bamboo stools and gazed at the moon and its reflection in the lake」(二人は竹の椅子にすわり、月とその湖の反映を眺めた)
世阿弥の詩による「松風」
Ayuo作詞の「Victimized」
中村明一:
1) Close your eyes
2) Luna
Morgan Fisher:
Urban Sufi
他
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めぐろパーシモンホール
小ホール
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2019年のCD "Outside Society" 付きの予約:5500円
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