"DIVIN" Vol.30
『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。
夜行列車の旅へと帰還するヨーロッパ
コロナ渦で国外旅行が難しくなり、ご存知の通り日本だけではなく世界中で航空会社は苦境に立たされている。
以前(と言っても、1年前だ)のDIVINで伝えた航空会社の苦境。この時はまだ世界中でコロナが流行り日本でも「緊急事態宣言」が出ている頃。
それから1年が経ち、世界中でワクチンの接種が始まったとはいえ、今のなお不安定な日々が続き、未来の見通しは明るくない。
また、飛行機での旅で指摘されていた、環境への問題も向かい風になったのではないか。グレタさんが飛行機の移動で排出される排気ガス、二酸化炭素を指摘し、鉄道での旅を勧めたことはそのムーブメントを推し進めるキッカケになった。
いま、ヨーロッパでは「時代遅れ」とされていた鉄道での旅、特に夜行列車の旅が”ルネッサンス”を引き起こしている。
今月1日から欧州全域で旅行規制が緩和されることになり、ヨーロッパでは旅行者を呼び戻す準備が進んでいる。しかし、気候変動への懸念が高まる中、パンデミックの間に旅行者の願望は変化したようだ。
調査によると、航空機の排気ガスに関する意識の高まりにより、多くの人がフライトとの関係を見直すようになった。イギリスの旅行者の約半数(47%)が、パンデミック後は飛行機に乗る機会を減らす予定だと言う。
自分も2018年にヨーロッパ中を旅していた時、移動の足は(貧乏バックパッカーだったことあるが)夜行バスがメインだった。しかし驚いたのがLCCの安さと便利さだった。バスと変わらない、もしくはもっと安い金額で移動することができる。
ライアンエアーなど、ヨーロッパを代表するLCCはいくつかあるが、キャンペーンや特割期間をうまく使えば国外移動が1000円以下なんてときもある。
そんなLCCたちに押され、ほぼ消滅してしまったヨーロッパの忘れられた寝台列車は、旅行者が持続可能な交通手段を求め、ゆっくりとした旅を楽しむために復活している。
オーストリアの鉄道会社NightjetやスウェーデンのSnälltågetは、ヨーロッパの都市間で夜行便を復活させている企業のひとつだ。
そして新興企業もこれをチャンスと、参入を始めている。
新興の鉄道会社であるEuropean Sleeper社は、5月に50万ユーロのシード資金を調達し、ブリュッセルとプラハを結ぶ寝台列車の運行を開始した。このサービスはアムステルダムとベルリンに寄り、2022年4月に開始される予定だ。
また、フランスの新興企業であるMidnight Trains社は先週、寝台列車のコンセプトを完全に再構築し、「ローリングホテル」を導入することを発表した。同社の車両には豪華なプライベートベッドルームやバスルーム、ダイニングカー、さらにはカクテルバーが用意されている。
このMidnight Trainsは、パリ、バルセロナ、ベルリン、コペンハーゲン、エジンバラなどヨーロッパの10都市を点で結ぶ計画だ。共同設立者の一人であるAdrien Aumont氏は「飛行機での旅行に代わる、本物で手頃な価格の旅行を提供したい」と語る。
また彼は「夜行列車の運営会社は、長い間、製品とその体験に革新をもたらしていませんでした」とも言う。
「夜行列車を現代の最も快適で持続可能な交通手段とし、中距離フライトに代わる、信頼性の高い手段とするためには体験を再発明することが唯一の方法でした」。
2024年に最初のサービスを開始する予定のこの夜行列車は、パリとローマを結ぶ路線で同じルートを飛ぶ手段に比べて、CO2排出量が23分の1になるとされている。
世界中を旅していた時、前述したように移動は主にバスだった。その理由はコストの面もあるが、「変わりゆく景色が見える速さ」で移動するのが好きだったからだ。
空が次第に明るくなり、太陽が上る様子を車窓から眺める。
もう恐らく一生目にすることも訪れる機会は無い、名前も知らない小さな村を通り過ぎる際に、その村の暮らしを垣間見る。
言語が分からず困っていると、ローカルたちが助けてくれる。
途中のバス停でご飯を買い、景色を見ながら食べたことのない果物にかぶりつく。
効率を求めると飛行機での移動が一番かもしれない。しかし、非効率の中にこそ、多くの体験があり、出会いのキッカケが存在する。
旅行業界においても「Slow Travel」の時代がもうすぐ来るのかもしれない。
陸路専門の旅行代理店
いま一番の願望は海外旅行かもしれない。近い韓国や台湾も行きたいし、アメリカやヨーロッパ、東南アジアや大好きなオーストラリアなど候補はいくらでもある。(時間とお金は別の話だが)
昨年2020年11月、2度目のロックダウン中のイギリスであるサービスが誕生した。飛行機を使わない、陸路でのオーダーメイドの旅程を提供する旅行代理店「Byway」だ。
「Byway」創業者のキャット・ジョーンズ氏は、近くの公園までの旅を望むのも精一杯な状況で、パンデミック後の旅行業界をより持続可能なものにするため、このサービスを始めた。
予約者は必ずしも環境へ関心のある人だけではない。「Slow Travel」が好きな人や飛行機が苦手な人、計画を立ててもらえるのが良いと思う人など目的は様々だ。
このサービスのUIは少し独特だ。
TOPページでは、目的地を選べるボタンのほか、「Build your holiday 」というボタンがある。
そのページに遷移するといくつかのQAが進み、あなたにピッタリの旅が見つかるというものだ。
Explore by traveling through, not flying over.
「空を飛び超えていくのでなく、道を縫うように旅をしながら世界を見に行こう。」とサイトは訪れた人に語る。
リリースして半年が経過した今でもサービスの予約者は絶えない。
今週見つけたブランド:NOPELERA
メキシコカン石鹸ブランド、NOPERERA。
ラテンアメリカの文化を高め、”祝福”するために設立されたと言う。
ブランド名の由来は「ノペル」、日本名で言うと「ウチワサボテン」から来ている。
ウチワサボテンは世界で最も持続可能で、かつ栄養価が高く、用途の広い植物の一つであるとされている。また、ウチワサボテンはメキシコ文化の古代からのシンボルでもある。
創業者のサンドラは、アメリカとメキシコの国境に近いカリフォルニアでメキシコ移民の両親に育てられた。
自分自身のアイデンティティ、文化を祝うためにNOPELERAを設立した。
実際に幼少期の頃から彼女の周りには、ウチワサボテンがどこにでもあったそうだ。
自分の家の庭にあるウチワサボテンを切り、料理に使う。それは彼女の日常だった。
その後、彼女はウチワサボテンを職人の手により、バス&ボディ製品へと使い始め、このブランドが誕生した。
色も鮮やかな石鹸はウチワサボテンの形をしており、クリエイティブを含めとても洗練され、メキシカンが感じされながらも独特で、自分たちには新鮮さも感じられる。
ロゴマークの女性も紙がウチワサボテンの形をしていたりと芸が細かい。
ビーガンかつ動物実験をしておらず、環境やエシカルにも配慮されている。世界中でも問題になっているパーム油も使用していない。
いまアメリカ各地のショップで取り扱いが少しずつ増えている。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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edited by Ayumu Kurashima
Instagram: @micronheads
Twitter : @micronheads_new
illustration by @mihirayuta