"DIVIN" Vol.8
『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。
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暴かれたサステナブル企業の裏の顔
#BLACKLIVESMATTER の抗議が世界中で広がりを見せている。
フィジカルにデモに参加するのと同じように、個人が自身の意見をSNS上でハッシュタグや画像等と一緒に意見を述べている。
各ブランドも同じく、自社の考え・ポジションをSNS等で宣言。
海外、特にアメリカでは政治問題や環境問題などについて、企業が意見を述べることが多いが、今回のムーブメントにおいては「意見を出さないこと」は企業にとってクリティカルな問題となる。
それはハリウッドスターのような著名人たちにも及び、「どのような立場を取るのか、語るのか」を求める声が世論で大きくなっている。
昨今では商品を売るだけでなく、強いストーリーやビジョンを持つことが企業にとって重要となっている。
つまり、そのサービスやプロダクトを通してどんな社会にしたいのか、どんな風に寄与できるのかを伝えることである。
その顕著な例のひとつが以前のDIVINで紹介したようなB Corpである。
思想自体が企業・ブランドのコアであるD2Cブランドは特にどのようなことを考えているのか、自らのコミュニティに伝えることは重要であり、とても自然だ。
受け取る側も(その思想が相反してなければ)、そのブランドへの信頼感は増す。つまり、「だから好きなんだよね」「やっぱりそう言ってくれるよね」という今までの自らの姿勢を肯定し、更にエンゲージメントを高める動機となる。
NIKEのメッセージが多くの人々に勇気と感動を与え、それをADIDASがリツイートしたように。
一方で、伴っていない行動はすぐにバレてしまう世の中となった。
ジョージ・フロイドさんの事件はある人がその様子を撮影し、それが決定的な証拠となり、拡散していくことで大きなムーブメントとなった。
スマホの登場は、それまで声を上げ、届けることが難しかったイチ個人の立場や意見を世界中に広げることを可能にした。
その小さなデバイスは報道カメラとなり、ニュースとなるからだ。
LA発のアパレルブランド「Reformation」に対して旧従業員たちの告発が止まらない。それは表向きでは知られていなかった人種差別的な労働環境・社風であった。
Reformationは多くの他のブランドと同じように、BLMに対してのステートメントを発表し、寄付のリンクを載せた。
が、実は逆行しているそのコーポレートカルチャーを今も次々に告発されている。その証言はどれも辛く、悲しいものばかりだ。
Reformationはエシカルでサステナブルなファッションとして、ファストファッションに嫌気がさしていた人々を中心に多くに人気を集めた。
高いファッション性を保ちながら、環境や労働環境などに配慮した商品作り。
その商品でどのくらいの水やCO2が使用されているのか表記し、様々な環境への取り組みや、工場労働者の人権・安全・賃金の保障を謳うなど、エシカルな企業として有名となり、人気となった。
つまりReformationは「事業の透明性」を企業のコンセプトであり、カルチャーとしていた。
そんなReformationに対して、実は多くの従業員が不満を持っていたのだろう。このタイミングで一気に噴出したカタチだ。それは「透明性」とは異なるものであり、エシカルとは呼べないものだった。
ブランドとしてどのようなパーソナリティを持つのか、そしてそれを一貫することの大切さを実感した1件だった。
歴史に思いを馳せる
辛い、悲しいニュースが報道される中で、ワクワクするようなニュースも。
メキシコで古代マヤ文明の遺跡を調査している考古学者らが、レーザーを用いた遠隔探査技術によって、これまで見つかった中で最大かつ最古の構造物を発見したというニュース。
メキシコ南部のタバスコ州にあるアグアダ・フェニックスと呼ばれる遺跡で見つかったこの遺跡跡は、紀元前1000~800年に築かれたものとされている。
構造物の体積は380万立方メートルと、エジプトにあるギザのピラミッドの260万立方メートルを上回る。
レーダーを用いて上空から測量するという技術にも驚き。
そして更に昔の話。
1億1000万年前に生息し、皮膚や装甲板など生きているときの外見をほぼとどめた状態の化石で見つかった恐竜について、最後に食べたと思われるえさの内容が明らかになった。
この恐竜の胃を分析したところ、植物の痕跡も化石となって保存されているのが確認できたそう。
恐竜の胃や、食べたものが化石の形で残ることは珍しいそうで、具体的な植物を特定できた事例は過去にない。
今回対象となった化石は、カナダで見つかったノドサウルスと呼ばれる四足歩行の草食恐竜のもの。
胃の中から見つかった化石の内訳は花粉や胞子、コケ類などの微化石が48点、シダ植物の化石が26点、花を咲かせる顕花植物の化石が2点、針葉樹の化石が13点。
慌ただしい日常から少し休んで、遠く昔の生物や人々の生き方や暮らしを想像するのも時には良い。
映画館への誘い
コロナウイルス感染症が広がるにつれ、人々の行動は大きく制限された。
電車やバスを使った通勤が難しくなり、在宅勤務のスタイルが普通となった。ライブハウスや劇場、映画館の多くが閉鎖され、余暇の過ごし方も大きく変化した。
映像はわざわざ都心の映画館に向かうものではなくなり、NETFLIXで楽しむものとなった。韓国のドラマシリーズは瞬く間にブームとなった。
QUARTZの記事では(意外と思うかもしれないが)、映画館の安全性について説明している。
勿論、ノーリスクの訳ではないが他の室内のアクティビティに比べて安全であることを、分かりやすい例を用いて説明している。
ポップコーン食べなければ、ただ”マスクを付けて座っている”状態でしかないこと。
観客はスクリーンに向かって同じ方向を向いているため、フェイス・トゥ・フェイスの交流が起こりづらいこと。
日本の大手シネコンが営業を再開し始めたように、アメリカのいくつかの州でも再開に向け準備が進んでいる。そのルールは日本のものにとても近いとしている。
30%〜50%などのキャパシティの制限を設け、上映時間の合間の時間を長く取り、充分な清掃活動を行えるようにする。
全米で400以上のスクリーンを持つB&Bは、チェッカーボードのように観客を配置させるという。
そうなると、(友人と訪れていたとしても)隣にも前にも後ろにも人はいなくなる。
アメリカの調査では、77%の人が映画館が復活したらすぐに訪れたいと答えており、再開を望む声も大きい。
今回、日本で本格的にコロナが拡大する前にアップリンク浅井さんが上げていた記事を思い出し、再度読んでみた。
映画館の換気にまつわる条例とそのシステム、取り組みを分かりやすく説明されている。
映画館を建設する1/3の費用が換気のシステム構築に掛かっているというのは驚きだった。
ぜひ読んでほしい記事だ。
前述したQUARTZの記事内では、日本政府が混雑で有名な通勤電車を制限しないのは、フェイス・トゥ・フェイスの交流がなく、会話等も少ないため、感染のリスクが低いからとしている。
同じロジックであれば、映画館や劇場は換気システムがより整備されているため安全なのでは?と語っている。
もちろんどのように行動するか、選択をするか(この場合で言うと、映画館に行くかどうか)は個人の自由である。
ただ、盲目的にならずに情報を整理し、自ら調べ検証・行動していくことが大切である。
GWの絶好の公開シーズンを逃した映画たちの公開がこれから始まっていく。
クリストファー・ノーランの最新作「テネット」も7月の公開という予定を今の所変えていない。
いくつかのハリウッド作品が劇場公開を諦め、オンラインでの配信に切り替えた。
が、この『テネット』は劇場公開を示唆する “coming to theaters”という短いメッセージを残している。
他には『SKIN』も個人的には楽しみにしている作品。
白人至上主義者に育てられ、スキンヘッドに差別主義者の象徴ともいえる無数のタトゥーを入れた主人公。
シングルマザーのジュリーと出会い、これまでの憎悪と暴力に満ちた自身の悪行の数々を悔い、新たな人生を始めようと決意する。
いままさに世界中で多くのデモが行われている「人種問題」を正面から描いた作品。
黒人の人たちの目線で描いた作品も多いが、中々知ることができない「白人至上主義者」の目線から描いたものを観てみるのも良いだろう。
なお、この映画のプロデュースはA24という制作会社。いま世界で最もイケてる映画製作会社と呼ばれている。
2012年に、映画業界で働いていたダニエル・カッツ、デヴィッド・フェンケル、ジョン・ホッジスの3人によって設立されたこの会社は、設立から10年にも満たないにも関わらずアカデミー賞をいくつも獲得している。
『ムーンライト』や、AIの近未来を描いた『エクス・マキナ』、狂気のフェスティバル・スリラー『ミッドサマー』、エマ・ワトソンの『ブリングリング』などなど。
多額の制作費用が通例となりビッグビジネスとなったハリウッドで、大企業からの資本を入れることなく、インディペンデントかつオーガニックに成長を続けてきたことで知られる異例のチームだ。
うだるような夏の日にはエアコンが効いた映画館でゆったり映画を観るのが好きだ。
もう少ししたら、お気に入りの劇場に行ってみよう。
"木は拭くものでなく登るものだ!"
年始にオーストラリアを訪れた際にも見かけたトイレットペーパー。
実は、毎日27,000本もの木がトイレットペーパーのために使われてると言われる。
この問題に対し、木材を使わずに竹や100%再生紙を用いてプロダクトを作っているのが「HOW WE ROLL」だ。
プロダクト自体もエコであることに加え、商品が売れる度に1本植林をし、現在までに1500万本を植えた。
今年の大規模な森林火災により、大きな影響を受けたオーストラリア。そんなオーストラリア発のブランドが次第に人気を集めている。
サイトの作りも素敵で、コピーもシャレがきいており面白い。
ぜひ一度のぞいてみてほしいプロダクト。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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edited by Ayumu Kurashima
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