熱しやすく冷めやすくて何が悪い
まぶたに透け感のあるピンクのシャドウを薄くのせる。目のキワには濃いめのカラーを細くのせて、ブラシでラインをじんわりぼかす。キラキラ輝く繊細なラメを上まぶたと、下まぶたの目頭側にのせ、黒のマスカラをしっかり塗ったらアイメイクは完成。うん、悪くない。今日は出かける予定もないのに、懇切丁寧にメイクを施している私だ。決して暇なわけではない。ただ、そういう気分なだけだ。
アイメイクをピンク系にしたから、チークもピンクだな。この間買ったポール&ジョーのチークを手に取る。桃のようなかわいいお色がお気に入り。ブラシにとって手の甲で馴染ませてから頬にオン。ジュワッとしたナチュラルな血色感を出すため、丁寧に色を重ねる作業は嫌いじゃない。
取材や打ち合わせがない限り、ずっと家で作業する私は普段ほとんど化粧をしない。平日の間ずっとすっぴんってこともありえる。だけど今週はなぜか月曜から毎日メイクをしている。人に見せるためにメイクすることが多いけど、今は違う。自分の気分をあげるためにメイクをしているのだ。改めて自分はメイクが好きなんだなぁと実感する。
最近、一番時間をかけているのは眉毛だ。30代をすぎてから、眉毛が決まらないとなんだか顔全体がイマイチ締まらないと思うようになった。明るめの眉マスカラを丁寧にのせてから、足りない部分をアイブロウペンシルで描き足す。セザンヌの極細アイブロウ、550円なのにいい仕事するなぁ。眉頭を濃くしないよう抜け感を出しながら描き足して、スクリューブラシでボカせば、ふんわりとした印象になったはず。
さぁて、リップはどうしようか。アイメイクを抑え気味にしたから、濃いマットリップが合いそう。最近、リップをいくつか買い足したおかげで選びたい放題だ。私には、一年に何度かコスメを一気に買い足したくなるシーズンがある(決して散財はしてません)。のめり込むようにハマるタイミングってのが私のなかに明確に存在するようだ。
それはコスメだけじゃなくて、服だったり、アイドルだったり、ゲームだったり、ジャンルはさまざま。それぞれ周りが見えなくなるほど一気にハマっては、落ち着くという流れを経ている。他人から見ると、私は熱しやすく冷めやすいタイプだろうか? でも冷めたらそれっきりじゃなく、必ずあとで再燃する時期があるなと最近気づいた。
学生時代から20代前半まで一生懸命読んでいた漫画に、30代でまた熱量が高まって全巻集め直したこともある。20代後半にハマっていたアクセサリーづくりは現在お休み中。次の波が来るのはいつなんだろう? 私にもわからない。
リップはデイジードールのマットリップに決めた。存在感のあるローズカラーが今の気分。唇の真ん中に直塗りして、外側にポンポンと伸ばすように馴染ませると、グラデーションっぽくなっていい感じがする。完全に自己満だけど。ハマっては落ち着く、そんな波を乗りこなす人生は忙しないけど、案外悪くないもんだ。私は今この瞬間を欲望のままに楽しんでいる。
執筆:otaki
編集:アカ ヨシロウ
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