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人の顔を、見ることができた

寒い。
急に寒い。いつの間にこんなに寒くなってたんでしょうか。
さっきコンビニへ行ったのですが、寒くてびっくりしました。
パーカーを着て行ったらちょうど良くて、まさかこんなに涼しくなっているとは。

コンビニでタバコと電池と、ついでにわたしの大好きな梨ウォーターを持ってレジに行き、会計をしてもらう時、自分の変化に気づきました。

『店員さんの顔をちゃんと見ている・・・』

当たり前のことなのですが、実は今までできなかったんです。
下を向いてしゃべりはするものの、うつむいたまま顔を見れなかったんです。それが本当のわたし。

これから人間関係を築いていかなければいけない人、例えば職場の人たち、近所の人、大家さん、そういう人たちにはとても愛想をよくできます。
それは自分を守ることになるから。計算高く自分中心の考えです。

その場だけの関係で済むような人ほど、本当の自分が出ます。
うつむいて自信なさげにお金を払い、顔を見ることもできず、無言で受け取って出ていく。
良くないと分かっているのに、克服できませんでした。

その理由は「疲れきっていたから」。

仕事に力を注ぎすぎて、瀕死の状態で毎日を過ごしていて、カスカスになった残りの力を近しい人に使い果たしていて、他人に優しくするどころか、常識的な振る舞いをする力も残っていませんでした。

ひどい時には歩道を走っている自転車にもイラついていました。きちんとルールを守れよって。
一番守れてないのは、わたしなのにね。

他人に優しくするには、気力も体力もいります。
わたしはそれを全て違うところに注いでいて、そして今、手元に残ったものはなんなのか。

15歳、高校に入りすぐに始めたアルバイト。
朝6時から8時まで働いて、そのあと高校へ行き、終わったら22時までまた働く(高校生でも22時まで働ける時代)。
そのうち働くことが自分の全てになり、そしてそこから何十年もかけて、自分の持てる力を使い果たしたんだと思います。
本当はなにがしたくて、なにになりたかったのか、考える余裕もありませんでした。

そしてさっき。
自然と店員さんの顔を見ていた自分。
大袈裟かもしれませんが、他人の顔をきちんと見ることができた。これは大きな変化なんです。

今、休んでいるから体力的には余裕がある。気力はまだちょっと戻っていないと思いますが、自分にやっと余裕ができたんだって、コンビニから浮かれて帰ってきました。

こうやってひとつひとつ、人としての在り方を取り戻していきたい。
上っ面だけの自分はもう捨てたい。

そうそう、梨ウォーターってめちゃ美味しいと思いませんか?
あのスッキリとした喉ごしを追いかけてくる甘さ、そして梨を感じるほんのりの酸っぱさ。
期間限定で、この時期にしか発売されないというプレミア感。

次にコンビニやスーパーで買い物する時、また店員さんの顔を見よう。
ついでに「ありがとうございます」と言えれば、100点満点だと思う。
レベル高いけど、頑張ってみよう。

「あ、あり、ありがとうごじゃいます」
張り切って噛むかもしれないけど、そこは気にしない。