季節の将棋手紙
ルールでおさらい将棋の本質
四間飛車の基本 ①ゆっくり、焦らず、確実に同じ形を作る。
まえがき
将棋というゲームにおいて、本書で学ぶ棒銀と四間飛車という戦法は、基本となる考え方やコツを体得するのに適している。どちらの形も自分から誘導できることに加え、変化も相当複雑で、応用力が身につきやすい戦術である。
しかし、何事においても、知識や技術の習得には、困難が伴うことがある。また、難しいと感じる壁は、個別的であり、捉えどころのない難しさも増えてくるだろう。
本書では、難しい考えや局面を分かりやすく説明しようとは心がけなかった。これは、著者の怠慢と見なされる可能性を高めるが、本書の趣旨は、将棋とは難しいものであり、その難しさと付き合う感覚が、後々の理解度向上に繋がるという想いに因っているから、今回は不問にしてほしい。
読者の方に後一言だけ付け加えることがある。それは、ゆっくり、焦らず、確実にあゆみを進めてほしいということである。
AIの台頭により、将棋界は、日進月歩の様相を呈している。しかし、人生の一部分にすぎない将棋の時間を、急いて無理しない方がいいと考えられるのだ。将棋では、いくらでも考える隙間がある余白を楽しむのがいいと、筆者は考える。どっしり構えて、じわじわと頭に入れていくのが、一番効率が悪いが、確実である。亀のごとく進む。本書でそれを態度で示せたらと考える。
では、まえがきばかり長くても仕方がないから、始めよう。
将棋の基本:将棋とはどういうゲームか?
なぜ囲いと戦法が必要となるのか
将棋のゲームは、王様を取ることで終わる。つまり、相手の王様を取るか、自分の王様を取られるかで勝負が決まる。
その規則に従えば、王様を守り、同時に攻める方法を身につける必要が出てくる。入門者・初心者を超える壁はここにある。まずは、玉を囲い、戦法を身につける必要がある。囲いを作れて、攻めの形を作ることが、全ての対局出来ていれば、5級の地力があることになる。
まだ、ここが出来ていない人は、囲いの重要性に思いを巡らす必要がある。どうして、将棋に於て、囲いが必要なのか。なぜ、王様を守る必要があるのか。攻める形を何故つくらなくはいけないのか。これは、将棋の話ではなく、理詰めで考えるのである。制限時間は、無い。ゆっくりと考えるといい。
四間飛車の囲いと戦法の型を見てみる
四間飛車側だけを切り取ってみよう。
上図の形を毎回作れるようになることを目指します。
四間飛車の基本の戦型について
四間飛車の基本について思いを巡らしてみますと、幾つかのポイントに焦点を絞ることができます。
第一に、四間飛車を指す場合の戦型の種類を絞って、指し方を真似することが大事だと考えます。
先日、次のようなマップを描きました。
ここでは、言葉足らずでしたが、将棋上達のための動画群を提供しました。例えば、先の動画群は8つに区分けして、四間飛車の戦型を分類しました。
①elmo囲い
②☗4五歩早仕掛け
③居飛車穴熊
④右四間飛車
⑤左美濃
⑥原始棒銀
⑦相振り飛車
⑧天守閣美濃
実を言うと、その他にも、戦型分類が出来ます。ミレニアム戦法や右玉・左玉、相振り飛車の場合分け等、様々な戦型があることは認めます。しかし、基本の型を学ぶには、数は多くない方がいいと判断しました。
この8つの分類されたオープニングを棋譜並べをすることで、四間飛車の基本の型を押さえることができます。しかし、ここから難しい複雑な話になってきます。
序盤・中盤・終盤という区分けの限界
将棋では、一般的に対局の進み具合を序盤・中盤・終盤という分類で区分けすることが多い。しかし、将棋では、中盤になったのに、序盤に戻ったり、終盤だったのに、中盤に戻ったりすることが起る。また、序盤と中盤の境目や中盤から終盤にかけての境界線が曖昧であること、それらを矛盾なく説明するのは、大変困難なことになる。
そこで、あゆみ将棋塾では、将棋の一局を五つに分類することにした。
1,Opening:最初期
2,Strategic period:戦略構想期
3,Battle period:戦闘期
4,Orieted period:指向期
5,End Game:最終期
それぞれの区分けを説明したいと考える。
①opening:最初期
ここで行うのは、自分の戦法の確定である。
戦法を確定するための、ポイントは、飛車の位置。角道を開けるかどうか。攻めの銀の位置、囲いの選択が基本となる。
例えば、先ほどの画像を見てほしい。
上述の図をそれぞれポイントを押さえてみよう。
⑴、飛車の位置は、四間飛車を選択。
⑵、角道は閉じている。
⑶、攻めの銀(今回の場合は、左銀)は、☖3二の地点
⑷、囲いは、本美濃囲い。
これらを組み合うところまでが、opening : 最初期です。
今回は、openingをいくつかの分類に区別していきたいと考えています。