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デザイン教育の評価に関わる研究

自分用のメモなので見づらかったらすみません。

「デザイン意図」の記述で学習者の意欲を評価

  • 教育:デザイン教育(色彩理論を学ぶための配色訓練)

  • 対象者:大学生

  • 内容:学生に制作後「デザイン意図」を記述してもらう。それをテキスト分析したところ、「デザイン意図」が少ない単語で記述されているものほどデザイン成果物の評価が高かった。「デザイン意図」を簡潔に書けている人=主体的に学ぶ力が高い、と評価できるかもしれない。

  • この評価法のメリット:「デザイン意図」の文字数を数えるだけで定量評価できること。

  • 配慮すべき点:「デザイン意図」の内容を評価していないかも

  • 文献:小谷章夫: デザイン教育において主体的に学ぶ力を評価する手法の一検討, 湘南工科大学紀要, 54(1), pp.85-89 (2020). [LINK]


ポートフォリオで学習者の理解度を評価

  • 教育:造形学部のデザイン教育

  • 学習者:大学生

  • 内容:学修者が自らの学修体験を振り返り、メタ化して評価するのにポートフォリオが使えるよ、という話。ポートフォリオが「学修者」「教育者」「学修者を採用する事業者(社会)」の3者の理解のツールであると位置づける。この文献はポートフォリオの作例がたくさん載っていてわかりやすい。

  • この評価法のメリット:学生のポートフォリオを使うだけでOK。

  • 配慮すべき点:評価指標までは明らかではなく、定量的な評価ではなく、デザイナーによる総合的な評価が必要である。

  • 文献:安武伸朗: ポートフォリオを活用したデザイン教育実践の報告, 常葉大学造形学部紀要, (16), pp.149-155 (2017). [LINK]


授業の振り返りシートのファイルサイズから学習者を評価

  • 教育:デザイン教育ではない(情報社会、キャリアデザインの講義)

  • 対象者:大学生

  • 内容:学習成果を評価するため、授業で用いる手書きワークシート(重要だと思ったことや疑問に思ったことを書く)のファイルサイズ(文字数)で学生を分類した。ファイルサイズが大きいものほど[授業への評価]や[自己評価]が高く、レポートが優れている傾向があった。ただし授業の回を経るごとにほとんどの学生のファイルサイズは低下する。

  • この評価法のメリット:スキャンするだけで定量評価できるということ。

  • 配慮すべき点:ワークシートの内容は見ていないため、ファイルサイズが大きい原因が個別に違う点を考慮していない

  • 文献:網岡敬之, 森裕生, 江木啓訓, 尾澤重知: 定量化した手書きワークシートと 学習成果の関連性の検討, 日本教育工学会論文誌, 40(Suppl.), pp.81-84 (2017). [LINK]


デザイン成果物を定量的に印象評価する(今回は引用しない)

  • 教育:キャラクターデザインの印象評価

  • 対象者:大学生

  • 内容:「特徴をつかむ」「階層的にわける」「空間的にわける」の3つの観点でデザイン成果物を評価する方法の提案。デザイン分野共通の印象語28語(分野ごとにカスタマイズ可)を提示し、選ぶ。多くの人に評価してもらうことで印象評価の傾向を得る。これを使えば統計解析が苦手な人も印象評価の分析が可能になる。

  • この評価法のメリット:非デザイン系の教員も使えるかも。

  • 配慮すべき点:成果物の印象評価のみ。優れたデザインかどうかは評価できない。複数の人による評価が必要。

  • 文献:森崎巧一, 大海悠太, 高木亜有子, 小楠竜也: デザイン教育を支援する 印象評価サポートツールの開発, 芸術工学会誌 71(0), pp.66-73 (2016). [LINK]


メモ)デザインの基礎技術「構成」スキルを短時間で身につける教育

  • 教育:平面構成

  • 学習者:大学生

  • 内容:デザインの基礎技術である「構成」スキルを「音の可視化、音楽を線で表現する」という演習で身につける新しい教育の提案。教員が音楽の特性を抽出し、それを表す「造形要素」と「造形秩序」を予測し、あらかじめ設定しておく。それに対して、実際の学生の成果物にその要素が見られるかをもとに評価する。加えて、他の学習者と異なる点を「意外性=オリジナリティ」として評価する。デザインにおいて重要な視点(共感覚)を実際に示せたため、デザインの基礎教育の一つになるのでは、という話。

  • 補足:本来、抽象形態を用いた反復演習により美的感覚やバランス感覚を身につける方法論としての平面構成の演習。形、色、テクスチュアなどの「造形要素」とバランスやリズムなどの「造形秩序」を学ぶ。現状の評価方法は、教員の主観が入り、評価基準が曖昧だというデメリットがある。さらに学生と教員の共通感覚が得られる=スキル獲得までに長い時間が必要である。バウハウスでの教育が元になった「構成」には、「多くの人が共通して持つ感覚を訓練することにより造形力が身につく」という考え方がある。

  • この方法のメリット:短期間でデザインの基礎技術の要点を理解できる

  • 配慮すべき点:教員がデザインの基礎技術をもっている必要がある

  • 文献:高崎葉子, 山本早里: 美的評価の共有によるデザインの基礎教育の可能性について:―デザイン系大学生への調査結果から―, 日本デザイン学会研究発表大会概要集 63(0), 70, pp.236-237 (2016). [LINK]


メモ)非デザイン系学習者のためのグラフィックデザイン教育

  • 内容:非デザイン系学習者のためのデザイン教育の中には、営業資料やプレゼンテーション資料等を視覚的に分かりやすく作成するためのデザイン教育も存在する。その延長上にUIデザインを位置づけていることもある。ユーザーの体験を考慮していないという点で、課題解決のデザイン教育とは異なる。ただ、デザインの評価に他者視点が必要という点では共通している。

  • 文献:有田宙史: 情報処理技術者教育におけるデザイン教育の重要性と評価方法の一考察 (北門達男先生 退任記念号), 商経学叢(近畿大学商経学会), 66(1), pp.1-16 (2019). [LINK]


メモ)非デザイン系学習者のためのWebデザイン教育

  • 内容:非デザイン系学習者がデザインの基礎技術をもたないことを考慮し、デザイン教育を開発しているところは共通している。この研究では「物事の根源に立ち返って、そのテーマとする世界をしっかり観察する眼差し」が重要であるとしている。これを身につけるために、「情報[世界]を見る・考えるデザイン演習」と題した 4 つの演習を提案している。
    ●演習 1 :ビジュアルイメージ採集
    ●演習 2 :画像イメージと意味[ことば→画像イメージ→言語化]
     ことばのもつ意味内容を画像によって視覚化し、次にその画像イメージが潜在的にもつ意味内容を言語化する。
    ●演習 3 :インフォメーショングラフィクス制作
     [大小・濃淡・きめ・色・方向・形]の6つの視覚変数を用いる。
    ●演習 4 :時の流れ・出来事・行為[記録→編集→表現]
     おこなった行為を任意の方法でドキュメントとして記録し、編集意図を見出し、編集意図に沿った作品制作する
    <このなかのプロセス>
     ①意識的に観察する、認識する
     ②観察、収集したものを、人に見せられるよう定着させる。
     ③考えやアイディアを言語化する。
     ④言語化した考えやアイデアにかたちを与える。
    自己のアイデアや表現について主観と客観の間を往還させる

  • 本研究との違い:達成するスキルが異なる(Webデザインではなく課題解決) ただしデザインという観点では同じかもしれない。が、非デザイン系学習者が活用する場面までは想定していないのでは。

  • 文献:渡部隆志, 有賀妙子, 大谷俊郎: 情報デザイン能力育成のための基礎教育プログラムの開発:情報[世界]を見る・考えるデザイン演習, 日本デザイン学会研究発表大会概要集 58(0), pp.124-124 (2011). [LINK]



①JABEEが考えるデザインの基礎技術=チームワークで乗り越える力?
②エンジニアリング教育は企業関係者から「役立つ」と考えられていない

  • 内容:JABEEが考える、デザイン教育で学生に学ばせたいこと=課題認識能力、環境上の課題解決条件を特定する能力、課題を論理的に特定・分析する力、課題解決に必要な科学知識を適応し解決に向けた方針を提案する能力、その方針に従って実際に解決する能力。その他にも、デザインの重要性、デザインの手法、社会との関連性、知識の応用力、調査力、判断力、問題発見力、創造力と授業以外への応用力、コンピュータ利用解析力、自立した学習力、コミュニケーション能力、チームワーク力、その他を育成したい。

  • 内容2:エンジニアリング教育では4年生までは既知の知識を習得させる教育をしている。人と関わる判断(安全性、経済性、文化への配慮など)や、複数の解が考えられる問題に取り組む機会が少ない(ない)。エンジニアリング教育における卒業研究は、専門科目に比べて、企業関係者から実践現場ではそれほど役に立つとは考えられていない。従来型の卒業研究では、指導教員から与えられた課題に取り組み、解を見つけ出す。その過程で何らかの新しい情報=オリジナリティが求められる。解は実験や観察で検証するため、唯一の解として明確になる場合が多い。仮説検証を繰り返したりはしない。

  • 文献:大中逸雄: エンジニアリング・デザイン教育と卒業研究, 工学教育 60(5), pp.5-12 (2012). [LINK]

  • 関連資料:一般社団法人 日本技術者教育認定機構: 共通基準 基準1 デザイン能力, JABEE「認定基準」の解説2017年度版, pp.16-18 (2017). [LINK]


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